<93>物懐かしい水のまち
「そのむかし簗瀬とよんだ水の町」。名張青年会議所が昭和54年につくった名張郷土かるたの1枚。読み札の裏には「簗瀬は名張の古いよび名です。簗というのは、魚をとるため川の瀬に竹を組んで作るしかけのことです。名張の川にはたくさん簗がつくられ、漁業がさかんでしたので、これが土地の名まえになりました」との解説がある。昭和27年、名張町を訪れてふるさと発見を果たした江戸川乱歩も、翌年発表した随筆「ふるさと発見記」で、
「町の裏を大きな美しい川が流れているし、町の中にも大きな溝といってもよいような、すき通った水の小川が、町屋の軒に沿って流れている。京都の木屋町に、よく似た小川があったことを思い出す。町の往来に沿って流れる、きれいな小川は、実にのどかな物懐かしい風情のものである」と水のまちの風情を愛でた。60年あまりが経過し、往来に沿って流れていた小川は多く暗渠となって道路の下に隠れているが、丸之内と中町の境界ではなお往年のたたずまいをとどめていて、行ってみると流れにかぶさるように紫陽花が花の盛りを迎えていた。

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