<85>お春日さんの参道で
遅かった春がいきなり初夏に変わったような4月16日の日曜、平尾に鎮座する宇流冨志禰神社の春祭りに足を運んだ。久しぶりでまちを歩くことにして、中町から上本町のサンロード商店街に入る。人っ子ひとりいない。しばらく進むと薬屋さんからご主人が出てきて、「先生、きょうはお春日さんですか」と尋ねてくれる。お春日さんは宇流冨志禰神社の愛称である。「ちょっと春祭りに」と答えて歩きつづけるが、まちの鎮守の神様のきょうはめでたいお祭り日だというのに、参道にはまったく人影がない。
本町通りと直交する町筋は、南東側が上横町、北西側が下横町と呼ばれていたが、上横町は昭和29年、上本町に改称した。49年に市内唯一のアーケードを設置するなど最先端の商店街としてにぎわいを誇ったものの、いまやこの町で営業する店舗は数えるほどしかない。写真は帰途、アーケードの出口近くで神社方向を振り返って撮影した。通りの真ん中で老婦人ふたりがいつ果てるとも知れぬ立ち話に興じ、その向こうには神社から帰る家族連れ。上本町の人口は、昭和55年に161人、今年4月1日に72人。

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