■■ 5月1日(土) ■■

 
■没後10周年記念 故郷・伊賀に帰る
伊賀市ミュージアム青山讃頌舎で榊 莫山展
「バクザン先生」の愛称で知られる伊賀市出身の書家榊莫山(1926〜2010年)の作品展が、伊賀市ミュージアム青山讃頌舎(伊賀市別府)で始まった。自由奔放な活動ぶりから書道界の風雲児と呼ばれた榊莫山は、少年時代から書に親しみ、戦後復員してからは奈良の辻本史邑(1895〜1957年)に師事、本格的に書の世界に入った。才能はすぐに開花し、多くの賞を獲得するとともにモダンアートの世界からも注目されるようになった。しかし、史邑没後は書壇を退き独自の道を歩むようになり、山野を放浪し道標や看板など「路傍の書」に師を求め、1960年代末には「土」「山」「女」など漢字一文字を扱った作品を発表。70年代後半からは、書と絵、詩を組み合わせた「詩書画一体」の作風を確立。81年に故郷伊賀に戻り、伊賀の自然や風物と結びついた作品を発表した。
本展は、莫山没後10周年を記念して、伊賀で初めて開催される作品展で、16歳で書いた「樂志論」を始め莫山芸術の足跡を辿るとともに、三重県出身の前衛画家元永定正(1922〜2011年)とコラボした「誰モヰナイ」や故郷伊賀の風景を描いた「伊賀八景」など24点。また、同郷の穐月明と同じ題材で描いた「寒山拾得」なども展示されており、伊賀を愛する2人の文人の作品を見比べるなど見どころが多い。
同市から来ていた女性は「莫山先生のファンで、この作品展を楽しみにしていた」と話していた。
主催・問合せ(公財)伊賀市文化都市協会(創立30周年記念事業)電話0595・22・0511。 期間は5月9日まで(火曜は休館)。午前10時から午後4時30分。観覧料は一般300円、高校生以下は無料。


伊賀市ミュージアム青山讃頌舎で開催中の榊莫山作品展