■■ 1月9日(金) ■■

 
■いが旅の会 越前かに賞味の旅
【日程】1月23日(金)、24日(土)、25日(日)
【旅行代金】16800円
【行程】伊賀各地(7時)〜八日市〜〈名神・北陸道〉〜敦賀〜〈越前海岸〉〜旅館水月(かに料理賞味)〜こまきかまぼこ(休憩)〜日本海さかな街(買物)〜〈北陸・名神〉〜伊賀各地(19時00分)
【旅行主催】KK旅行サービス(Knt特約店、三重県知事登録第2‐238号、総合旅行業務取扱管理者 金井泰典)▽催行人員20名【申し込み・問い合わせ】東部旅行センター(電話0595‐53‐0313)

■富士宮やきそばの事例に学ぶ広域連携フォーラム2009
伊賀市・名張市広域行政事務組合は二月二十一日、伊賀市ゆめが丘のゆめぽりすセンターで、まちおこしと地域ブランドづくりをテーマにした広域連携フォーラム二〇〇九」を開催する。
静岡県富士宮市から、富士宮やきそば学会会長の渡辺英彦さんを講師に招き、「B級ご当地グルメの地域ブランド化とそのポテンシャリティー」をテーマに、メディアを意識した仕掛けづくり、継続的な話題づくりなどについて聞く。
富士宮市は富士山本宮浅間大社を中心とする門前町として発展したが、時代の流れで中心市街地が空洞化した。渡辺さんがリーダーとなって市民のワークショップを行い、他県のものにはない特徴があるやきそばに着目。富士宮やきそばを通じ、まちづくりを推進。お金を使わず情報発信を行うことをモットーに、六年間で二百十七億円の経済効果をあげたという。
学会の設立は二〇〇〇年十一月。翌年四月にPR活動を開始したところ、その年のゴールデンウイークから焼きそばを食べにくる人が増え、店舗も増加。巨大鉄板をつかってやきそばをふるまい、ギネスに挑戦したほか、他の都市との「三国同麺協定」や「天下分け麺の戦い」、店舗の開設、JTBとタイアップした「ヤキソバスツアー」などの企画を展開してきた。
講演では、ネーミングとキャッチコピーの重要性、お金をかけないPR方法、定期的で継続的な研修制度、なぜ名もない「富士宮やきそば」が地域活性化の起爆剤となったのか、などが語られる。
午後一時三十分から受付を行い、二時から四時まで。事前申し込みは不要。問い合わせは同組合企画総務課(電話0595・22・9690)へ。


●新春たこあげ大会二〇〇九 十八日午前九時三十分から午後一時まで名張市夏見の市民野球場で。手づくりのたこを持参する。凧の販売もある(限定二十機)。雨天の場合は二十五日に延期。参加無料。申し込み不要。問い合わせは「夢と技の伝承カーペンター」(電話0595・68・0284、田鍋さん)へ。
●名張探訪十選コース 十八日、「お地蔵さんの散歩道」を催す。午前九時、市武道交流館いきいき(蔵持町里)に集合し、夏秋(倉たて地蔵、延命地蔵)、八幡(六地蔵)、薦生(みがわり地蔵)などの地蔵をめぐる。正午まで。小雨決行。定員は先着三十人。参加費五百円。水筒、雨具などを持参。申し込みは「みてみて名張」(電話0595・64・0131、前川さん)へ住所、氏名、年齢、連絡先を伝える。締切は十六日。


●名張桜まつり
名張の春の風物詩となってまいりました夏見中央公園での名張桜まつり事業も、年々来場者の増加を見ながら十四度目の春を迎える諸準備にとりかかっております。
つきましては、今年度におきましても桜まつりイベントに参加協力いただける団体を下記の通り募集致します。名張市内外から来られる多くの方々へ向けて「名張の人、物、食が集結する桜まつりイベント」に参加出店し、あなたの団体をアピールしてみませんか。そして名張市恒例の桜まつりを盛りあげましょう! 参加団体募集の締切は一月二十七日(火)とさせていただきます。
参加団体におきましては、まつりの企画運営、準備、片づけ等のご協力もお願い致します。参加ご希望の団体は事務局(名張商工会議所、電話63・0080)までお問い合わせください。

▽日時=四月上旬。満開に近い土曜日にイベント開催(四月四日または十一日を予定。雨天時翌日順延)
▽場所=名張市中央公園周辺
▽内容=グループ、団体、会社等さまざまな出店、発表、PRが可能。例:模擬店(飲食)、各種販売、体験コーナー、子ども向けゲームコーナー、企業PR
▽参加協力金=五千円【名張商工会議所】

 ■■ 1月6日(火) ■■

 
■全国そろばんコンクール名張大会結果
【小学校一年生以下の部】金賞=三島孝太(名張一位)、竹島愛理、宮木優一、西山光▽銀賞=池田駿真、今村好里、西岡徹志、森本彪雅
【小学校二年生の部】金賞=森立夏(名張一位)、斉藤快斗、松井かずさ、西谷海綺、井上智貴、北森朝香▽銀賞=福住紘士、川勝武、濱野優、辻和輝、山本翔斗、隈敦志
【小学校三年生の部】金賞=中原若辰(名張一位)、斉藤拓也、坂奈々美、加藤大暉、石井ほのか、宮本亮輔、福原聖、山森裕平、津田萌、橋本啓吾、丸山雄大、一柳晴輝▽銀賞=清水美里、松村知弥、西谷真規士、谷本陽花、鈴木八雲、古川宏晃、寺部千夏、有坂茉歩、手島伶緒、吉岡里紗、薮本悠治
【小学校四年生の部】金賞=馬場勇介(名張一位)、廣澤孝駿、山本拓和、高山万央、鎌田浩毅、前田こころ、及川美優、米山まうむ、野口由夏、青木愛花▽銀賞=甲斐南津実、中森万穂子、川勝響、田中貴己、清都明里、福増えりか、勇桃香、山中梨夏子、井上綾
【小学校五年生の部】金賞=木下巧(名張一位)、藤澤健、加藤杏佳、竹島大喜、東美緒、倉掛成美、坂有里菜、石井航平、吉岡怜那▽銀賞=森颯太郎、木村綾子、福岡由季菜、塩谷卓幹、唐原桜子、日比涼多、松岡龍志、植田萌々香、大北莉加
【小学校六年生の部】中野史博(名張一位)、辻本大明、岡本沙樹、越智紗彩、水口優依、福住維志、山科アリサ、中矢雄一郎▽銀賞=山森麻衣子、新倉美樹、田中瑞己、大北耕平、岡本千咲、福岡史織、籠井絢子、大西利奈
【中学校一年生の部】金賞=清水彩加(名張一位)▽銀賞=廣澤龍典
【中学校二年生の部】金賞=辻本佳世(名張一位)、小林満莉子▽銀賞=尾崎伶奈
【中学校三年生の部】金賞=杉本敦(名張一位)、田中佑佳▽銀賞=花山智輝
【高校生の部】金賞=岡村江里香(名張一位)
【一般の部】金賞=上野利津生(名張一位)、服部克彦▽銀賞=荻野優子

■3月に伊賀の国探訪「城下町ツアー」
伊賀市・名張市広域行政事務組合は三月十四日、地域の自然や史跡を訪ね、魅力の再発見や交流、健康づくりを進めるための「伊賀の国探訪ツアー」第二弾「あんじょう学んでだ〜こ城下町ウォーキングツアー」を催す。
伊賀市中央公民館を起点に、カルチャーボランティアガイド「いがうえの語り部の会」の案内で伊賀上野の市街地を散策し、同公民館に帰着する。全行程は約六キロ。午前十時から午後三時三十分まで。小雨決行、荒天中止。
集合は、伊賀市中央公民館に午前九時三十分、名張市役所には同八時四十五分。同市役所からはバスで送迎。対象は伊賀市か名張市に在住の人。小学生以下は保護者の同伴が必要。定員九十人。参加無料。歩きやすい服装で参加し、弁当、飲み物、雨具などを持参する。
参加希望は往復はがきで、往信表面に「〒518‐0825 伊賀市小田町一三八〇番地一 伊賀市・名張市広域行政事務組合企画総務課宛」、往信裏面に代表者の郵便番号・住所・電話番号・希望の集合場所と参加希望者全員の氏名・年齢(代表者に○印)、返信表面に代表者の郵便番号・住所・氏名を記入し、返信裏面は白紙のままで申し込む。一通につき六人まで有効。締切は一月二十三日必着。問い合わせは同組合企画総務課(電話0595・22・9690)へ。


●新春展示会 名張市さつき台二番町に昨年九月オープンした「ぎゃらりー○(わ)」で九日から三十一日までの金・土・日曜に開催。出展は、絵画の岡部経、長船侍夢、森公美、書の宇都宮幾子、染色の長船智子、陶芸の郷隆次のみなさん。問い合わせは郷さん(電話0595・74・0021)へ。
●キャンドルナイトIN赤目四十八滝 十一日午後四時から八時まで、赤目四十八滝渓谷内の不動滝と霊蛇滝を約千個の灯りでライトアップする。日本サンショウウオセンター二階ではエコキャンドルづくり(無料)があり、同センターも午後八時まで営業。赤目忍者の牛汁、甘酒の販売がある。先着百人にプレゼント。入山料金は大人三百円、小人百五十円。問い合わせは赤目四十八滝渓谷保勝会(電話0595・63・3004)、名張市観光協会(電話0595・63・9087)へ。


●名張市青少年センター(松崎町、電話0595・64・3478)の一月の催し日程は次のとおり。主催者の都合で変更される場合がある。カッコ内は主催者、連絡先。
▼第二十三回新春謡曲仕舞大会(名張市社会教育振興会、主管:名張能楽振興会/電話0595・64・3478=市青少年センター)十一日正午〜午後四時三十分。無料。
▼新春舞踊花舞台(新春舞踊花舞台/電話0595・63・5035=藤間緋桜さん)十八日午後一時?四時。無料。
▼第二十二回名張教育文化講座(名張地区厚生事業運営委員会/電話0595・68・8810=三重県教職員組合名張支部)二十四日(1)午前十時三十分〜十一時五十分(2)午後一時三十分〜二時五十分。無料だが、入場整理券が必要。
▼第三十九回慈善吹奏楽演奏会チャリティーコンサート(伊賀吹奏楽連盟/電話0595・21・1900=上野商業高校、堀内さん)二十五日午後一時三十分〜四時。五百円。朝日ファミリー劇場「ノンタン・みにくいあひるの子」(奈良三重朝日会/電話0595・64・6722=ASA名張東)三十一日?午前十一時?午後零時四十分?午後二時?三時四十分。無料だが、入場整理券が必要。

 ■■ 1月3日(土) ■■

 
■乱歩をめぐるミステリー
まちなかの話題は六年目を迎えた
本紙の新年号で名張旧町地区、いわゆる名張まちなかの話題をとりあげるのは、今年が六年目になる。
二〇〇四年の新年には、名張商工会議所がまとめた旧町地区活性化策「なばりOLD TOWN構想」を紹介。翌〇五年は「名張再発見」を特集し、「注目を集める町の観光資源/ひあわいのたたずまい」「再生に必要な新しい価値観/城下町の顔と宿場町の風情」といった記事を掲載した。
〇六年は、前年に名張市が策定した「名張まちなか再生プラン」にもとづいて「名張まちなか再生いよいよスタート」と報じたが、〇七年の紙面には「再生の行方」との見出しを掲げ、まちなか再生の拠点と位置づけられていた旧細川邸(新町)をどう活用するのか、その方向性が明確になっていない事実を伝えた。
結局、旧細川邸は観光交流施設「やなせ宿」として開設されることになり、〇八年新年号の記事は「『やなせ宿』今春オープン」。昨年六月にオーブンしたやなせ宿は、市から委託を受けた「まちなか運営協議会」が運営を手がけ、ワンデイシェフなどの事業を進めているが、委託期間は今年三月まで。四月以降のことはまだ決まっていない。
いっぽう、市が寄贈を受けて活用策を検討していた桝田医院第二病棟跡地(本町)は「江戸川乱歩生誕地碑広場」に生まれ変わることになり、昨年末に整備工事が終了した。
もはやブームではない?
ジャンルを超えたカバーが物語る圧倒的な乱歩人気
江戸川乱歩をめぐる謎、つまりミステリーのひとつは、没後四十年以上を経過しても人気が衰えないということだろう。むしろ、いよいよ高まっているとさえ見える。一九九四年の生誕百年を機に訪れた乱歩ブームが、それ以降も右肩あがりで継続され、もはやブームではなく常態となってしまった感がある。日本近代の文学者のなかで、乱歩は圧倒的な人気作家としての地位を不動のものにしたといっていいだろう。
乱歩人気を物語るのは、いわゆる二次使用、音楽業界の用語でいえばカバーの多彩さだ。昨年一年間を振り返ってみると、まず最初にあげなければならないのは、乱歩の長編小説「人間豹」を原作とした新作歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」だ。十一月、東京の国立劇場で上演され、松本幸四郎と市川染五郎が父子で共演。評判も上々で、今年十月には第二弾が公演されることになった。
映画の世界では、乱歩の代表作「陰獣」を原作にしたフランス映画が八月、ベネチア国際映画祭に出品されて話題を呼んだが、日本での公開は未定。十二月には、乱歩の生んだ怪人二十面相を主人公にした「K‐20 怪人二十面相・伝」が封切りを迎えた。乱歩作品をもとに劇作家の北村想が執筆した小説が原作だから、二次ではなくて三次使用ということになるが、乱歩人気の多様なひろがりを示す好例といえるだろう。
もちろん、乱歩作品そのものの人気も根強く、評価も高まっている。八月には、古典として認められた作品しか刊行しないことで知られる岩波文庫に『江戸川乱歩短篇集』が入った。生前に出版された全集の復刻版が刊行されるいっぽうで、少年探偵シリーズを復刻した文庫本も登場した。雑誌の特集や各種アンソロジーに乱歩がとりあげられるのは、いまや珍しいことではまったくない。
生誕地碑広場はできても乱歩人気を生かせない?
乱歩という名のミステリー
ひるがえって、乱歩をめぐる名張市内の動きはどうだったのか。名張ロータリークラブが昨年六月、中学生を対象に乱歩を紹介するリーフレット「少年少女乱歩手帳」を発行し、市が主催する恒例のミステリー講演会「なぞがたりなばり」が十一月に催された以外、これといったものは見られなかったが、年末になってようやく、乱歩生誕地碑広場が完成した。
乱歩生誕地碑のある桝田医院第二病棟が、「乱歩にちなんで活用してほしい」と所有者から市に寄贈されたのは二〇〇四年。名張まちなか再生プランを具体化するための官民合同組織「名張まちなか再生委員会」が検討を重ね、「乱歩文学館」を建設する方向で話が進んでいたが、市は〇七年、財政難を理由に建設計画の断念を発表。病棟跡を広場にすることが決まり、ベンチなどを設置して整備が終了。正式なオープンは今年二月ごろになるという。
このほか昨年十月には、乱歩にゆかりのある名張、亀山、鳥羽、津の県内四市が「乱歩都市交流会議」を設立。乱歩原作の歌舞伎を上演中だった国立劇場で、三重と乱歩のかかわりを紹介するパネル展示や地元物産の販売を行ったが、今後の方針を具体的に示すまでには至っていない。
市内のある観光関係者は「せっかく国立劇場で名張をPRしてもらっても、乱歩にちなんだ集客施設をつくるなどの態勢を整えなければ、観光客は名張に来てくれない」といい、圧倒的な乱歩人気を市のPRに生かしきれない歯がゆさを隠そうとしない。乱歩の生まれた新町にあった旧細川邸が、やなせ宿という乱歩とは無関係な施設として運営され、生誕地碑のある場所がただの広場になってしまった現状からは、市の財政難という要因もからんで、乱歩に関するどんな展望も見えてはこない。名張市が乱歩という「地域資源」をどのように活用してゆくのか。それこそが、乱歩という名前をめぐる最大のミステリーだといえるかもしれない。

●名張桜まつり
今年で14回目を迎え、4月上旬の満開に近い土曜日(4日か11日)、名張市夏見の中央公園周辺で「名張の人、物、食が集結する桜まつりイベント」を催す。グループや団体、企業に模擬店の出店、各種コーナーの開設など参加を呼びかけている。参加協力金は5000円。締切は1月27日。問い合わせは名張商工会議所(電話0595・63・0080)へ。

●ロビーコンサート
伊賀県民センターのロビーコンサートは七日、伊賀市四十九町の県伊賀庁舎一階ロビーで第五十一回「新年 いのち かがやく」が催され、全盲の中学生ピアニスト、市川純也くん=写真=が演奏を披露する。
市川くんは奈良県天理市立西中学校一年生。伊賀市で生まれ、一歳まで過ごした。生後まもなく、これまで症例がほとんどないタイプの白血病と診断され、一歳で両目を失明。二歳のときに骨髄移植手術を受け、生存率は二〇%とされていたが、奇跡的な回復をとげた。
「目が見えないことが自分の普通の姿、かわいそうなんて思ってほしくない」という前向きな性格で、行政や地域に支えられて普通校に通学。五歳で始めたピアノは、昨年十一月に東京で開かれたヘレンケラー記念音楽コンクール中学校の部で一位に入賞するまでになった。クラシックだけでなく、さまざまなジャンルのミュージシャンと共演し、音楽の幅を広げている。
演奏曲目はショパン「幻想即興曲」、ドビュッシー「アラベスク第一番」などのほか、自作曲「Misty Fountain」も披露する。
午後零時十五分から五十分まで。申し込み不要、入場無料。問い合わせは同センター(電話0595・24・8137、中山さん)へ。

●演劇の集いIN伊賀
伊賀地域で演劇に携わる人たちによる「みえ県民文化祭演劇の集いIN伊賀」が二月一日、名張市青少年センターで催され、地域の歴史をテーマにした創作劇が披露される。
上演作品は、名張市に残る古代寺院跡、夏見廃寺にゆかりの深い大来皇女と大津皇子の姉弟を描いた哀野夕さんのオリジナル「古の夏見│遥か遠きに君を想い│」。千三百年前、父親である天武天皇の命を受け、十三歳で伊勢神宮に斎王として仕えることになった大来と、都にひとり残された大津とのドラマが描かれる開演は午後一時。入場料は一般千円、高校生以下五百円。問い合わせは事務局のおきつも名張劇場・三枝孝行さん(電話・ファクス0595・63・2279)へ。 

●第24回絵画展
名張市赤目公民館で活動する絵画教室「どんぐり」が16日から18日までジャスコ新名張店3階リバーナホールで開く。午前10時から午後5時(最終日は4時)まで。出展者は、工藤俊治(講師)、小林政利、吉田仁一、岩田登志子、山本登、勝村恭子、山本冨貴子、堀井輝雄、山本栄治、松井昌子、塚越ふみ子、浅川眞里衣、福井功のみなさん。







 ■■ 1月1日(木) ■■

 
■菊田実新春紙上展 ふるさと雪景
名張のまちに降る雪は・・・
菊田実さん(名張市朝日町)の新春紙上写真展。今年は「ふるさと雪景」と題し、雪に包まれた名張のまちとその周辺の風景をお寄せいただいた。
「一番好きな季節は冬」といい、赤目四十八滝の「氷瀑」を題材にした写真などで知られる菊田さんだが、雪が降るかどうかは、文字どおり運を天にまかせるしかない。
今回の作品は昨年二月、名張一帯に雪が舞った日の映像だという。

名張の町の氏神と宇奈根と呼ばれた神
名張市平尾に、宇流冨志祢(うるふしね)神社が鎮座する。名張のまちの氏神だ。上の写真がふだんの境内。名張のまちの南端、平尾山と呼ばれる高台のふもとに位置し、南には名張川が流れる。
例祭は十月二十八日。「名張祭り」の名で知られ、名張のまちでは二月の「八日えびす」と並ぶ盛祭で、二十七日の宵宮には、氏子から選ばれた四戸の頭屋が親戚縁者を酒食でもてなしたあと、かみしも姿で夜の町に提灯行列をくりひろげる。
全国に分布する春日神社と同じく春日の神をまつっていることから、地元では「お春日さん」という通称で親しまれているが、古代には「宇奈根(うなね)神」と呼ばれていたらしい。
延喜元年(九〇一)に成立した歴史書『三代実録』に宇奈根神のことが記録されていて、これが宇流冨志祢神社だとされている。春日の神がまつられる以前、この神社では宇奈根という神が信仰を集めていたことになる。宇奈根というのは、いったいどういう神様なのだろう。

用水の神と春日の神と地域開発の歴史を秘める
忘れられた岩祭り
地元の伝承によれば、宇奈根(うなね)神はもともと、名張川に面する弁天岩という巨岩の上にまつられ、「うなり社」または「みなり社」と呼ばれていた。弁天岩はいまもあって、毎年六月十六日には、この岩の前で宇流冨志祢神社の神職ら関係者が「岩祭り」という神事を営んでいるが、地域住民にもそれを知る人はほとんどいない。
宇奈根神はどういう神であったか。『日本の歴史14 周縁から見た中世日本』(二〇〇一年、講談社)の第一部「北の周縁、列島東北部の興起」で、大石直正は奥州藤原氏による水田開発にふれ、青森県八戸市などで十四世紀、村ごとに宇那祢(うなね)社がまつられていたと指摘。ウナネは用水の神、つまりは農業神だったとする説をくりひろげている。
取水口にまつられる神
ウナネの語源は「用水溝を意味する古語のウナデに、その始点すなわち水の取り入れ口を意味するネ(根)をつけることでできた語と考えられる。すなわち、ウナデ(用水溝)+ネ(根)→ウナネ(用水の取り入れ口)という形である」といい、東北地方にはウナネがなまってウンナン様、ウナン様と呼ばれる小社がいまも存在しているが、それらは水の神や田の神として涌水や用水の取り入れ口に位置しているとしている。
ウナネは、水田開発の用水を確保する地点にまつられた神だということになる。宇流冨志祢神社の場合も、かつて宇奈根神がまつられていた弁天岩は、名張川から名張のまちへ引かれた簗瀬(やなせ)水路の取り入れ口に位置している。宇奈根神の正体は、はるかな古代、現在の名張のまちにあたる地域が開発されるとき、農業用水の取水口にまつられた神様だったのかもしれない。
春日神の勧請
宇流冨志祢神社から名張川をややさかのぼった対岸、夏見の地に積田神社がある。森川桜男は『日本の神々6』(一九八六、白水社)の「伊賀」で、平尾の春日大明神は夏見宮から勧請されたとする古い記録を手がかりに、春日大明神は宇流冨志祢神社、夏見宮は積田神社であるとして、付近に木材の集積する津(港)が存在していたことから、「積田神社はこの津にはじめて春日神をまつった神社ではなかろうか」と推測をひろげている。
名張川をはさんでまつられたふたつの神社は、この土地の開発の歴史を秘めているようだ。

名張市にあったひとつの町と八つの村
現在の名張市のエリアには、かつて九つの町と村があった。名張町と、薦原、美濃波多(みのはた)、蔵持、比奈知、錦生、滝川、箕曲、国津の八つの村だ。美濃波多が美旗、滝川が赤目に変わった以外、これらの地名は現在も地域の通称として生きている。
名張町の南東にあったのが箕曲村。名張川の対岸にあたる瀬古口は、鍜冶町橋で町と結ばれている。町から橋を渡ってゆけば、すぐそこに見えるのが稲荷神社だ。
名張町の北東にひろがるのが蔵持村。桔梗が丘住宅地が造成されるなど、ここ四十年ほどで大幅な変貌をとげた。大屋戸にある杉谷神社は、菅原道真をまつることから「天神さん」の名で呼ばれる。
八つの村のなかでは、箕曲と蔵持のほか、錦生と滝川の二村も名張町と境を接していた。

名張藤堂家の屋敷跡と初代をまつった神社
名張のまちの高台に、県史跡の名張藤堂家邸跡がある。江戸時代に名張を治めた名張藤堂家の屋敷跡だ。初代・高吉をはじめとした当主が住んだ。県史跡として公開されている。
藤堂家邸跡に隣接するのが寿栄(ひさか)神社。寛文十年(一六七〇)、高吉が死去したとき、一族や家臣が遺徳をしのんで屋敷内に建立した。場所は名張小学校の敷地内だった。
昭和十年(一九三五)、同校に講堂が建設されることになり、神社は現在地に移転。同じ場所にあった旧藤堂屋敷の正門も移され、神社の門となった。太鼓門と呼ばれ、県史跡に指定されている。

夏見に残る伝説と悲劇を秘めた寺院跡
旧箕曲村の夏見には、積田神社がある。春日神をまつり、奈良・春日大社の祭神が鹿島の国(茨城県)から遷座する途中、この地に鎮座したという伝説を伝える。同じく夏見に残る夏見廃寺は、国史跡に指定された古代の寺院跡。天武天皇の子として生まれ、政争に散った大津皇子とその姉・大来皇女の悲劇を秘めている。復元された金堂の基壇が往時をしのばせ、夏見廃寺展示館では金堂内部のようすを知ることができる。