■伊賀の化身フクロウを描く〜洋画家・上田保隆さん
フクロウの画家として知られる上田保隆さんが10日から14日まで、津市中央の三重画廊で個展を開いた。
1937年、伊賀市に生まれ、名張高校在学中に独学で油絵を始めた上田さん。関西学院大学美学科を卒業し、大阪府池田市で制作していたが、78年に帰郷。霧生の生家をアトリエとして画業に専念している。伊賀の風土と忍者を象徴する化身というフクロウは、伊賀忍者を描いた司馬遼太郎の小説「梟の城」から感銘を受けてたどり着いたモチーフだ。
展示は26点。新作主体だが、なかには30年ほど前の作品も。どの絵でも暗い赤や濃い緑を背景に、闇が凝縮したようなフクロウが目を光らせる。タイトルはすべて漢字で、想、凝、潜、愁、隠、あるいは、忍影、幽境、無常、さらに、生々流転。無表情なフクロウが何を秘めているかを物語る。
「伊賀の人間として手がけないわけにはいきません」とここ2、3年、伊賀焼と俳句に熱中。会場には伊賀焼の陶板作品も七点。油絵よりさらに量感に満ちたフクロウが並んだ。俳句は種田山頭火のような無季自由律が好みだが、「芭蕉の故郷ではやはり正統的な句を詠むように、と先生から注意されました」という。 |