■■ 7月21日(土) ■■

 
■いが再発見(33)
「へえ〜 そうなんだ。伊賀は素晴らしい」と好評を博している「いが再発見」。これまで慢性甲状腺炎を世界に広めた「橋本病」や大歌人に賛美された才女・白秋の妻、「大河ドラマに高虎を」と奮闘する伊賀文化産業協会専務理事の福田和幸さんらを紹介している。今週は夏の風物詩・名張川納涼花火大会の「陰の主役」を紹介したい。
花火師のかげの苦労 努力で続く76回
名張の夏の風物詩で今年76回目を迎える「名張川納涼花火大会」が7月28日夜、名張川河川敷をメーン会場に、黒田地区など4か所から打ち上げられる。伊賀地域最大の花火大会にふさわしく、昨年より500発多い5000発を用意。見応えのある花火が期待できそうだ。花火師の脇坂晃治さん(41)には打ち上げる側の苦労と見どころを、元名張商工会議所会頭、辰巳雄哉さん(81)からは花火大会に衰退の時期があったこと、実行委員会事務局長、福井眞佐也さん(62)には警備の大変さを聞いた。
花火師として5代目となる脇坂さんは奈良県山辺郡山添村の「脇坂火薬」の社長でもある。父親の死から急きょ、社長を継いで4年目になる。幼いころから花火師の父親の背中を見て育ち、いずれ自分も花火を上げてみたい、と思うようになったという。
「子どもって、だいたい花火大好きじゃないですか。私も1回はやってみたかった。知り合いの花火師の子どもで父親の後を継ぎたい人を何人も知っています。ウチの息子も3歳ですが大きくなったら花火を上げたいといっています」
大学では化学を専攻。花火師の後継者となることを考えての決断だったが、実際はあまり役に立たなかった、と笑う。「それより新米の花火師としては花火の現場のかたがた、それに親父をよく知っている人に助けられたのが大きかったです」。
家業として代々名張の花火にかかわってきたのが自慢だ。第1回は1931年(昭和6)にスタートしたから、それ以来の長い付き合いになる。
「花火は朝8時から開始直前まで準備。そのうえ本番が続くたいへんな作業。昔のように花火師が直接点火するようなことはなく、現在は法律で、発火点から20メートルは離れなければならないよう規制されているので、危険はありません。すべて電気仕掛け。コンピューターでプログラミングするのですが、直接確認はできない。そのぶん不安です。時間通りにちゃんと上がるか、いつもドキドキしています」
しかし、花火師にはやりがい、仕事のだいご味があると、脇坂さんはいう。
「花火を打ち上げるという、たったそれだけのこと。でもそれが見る人の感動を呼び、その人にとって一生の思い出を作ることもある。また、自分のちょっとした行為でみんなが笑顔になってくれる。その喜びはなにものにも代えがたいもの…続きは6月23日号の伊和新聞に掲載しています。 ※ご購読は名張市上八町1482 伊和新聞社 電話63局2355まで。定価月650円(郵送地区別途)、一部170円。

■「光と雫」彫刻展・堤側庵で二人展
「光と雫(しずく)」をテーマにした山本莞二・鈴木律子彫刻展が26日から31日までの6日間、名張市新田の堤側庵ギャラリーで開催する。
2人の彫刻家は共に三重県生まれ。しんちゅうの細い棒を延々と溶接し形作られた山本さんの作品は12点、あたかも細胞分裂を繰り返し成長していく生物のようで、その造形からは、なぜか深いやすらかさを感じる。
鈴木さんはくすの木を素材とした8点、切り倒され、数年経った今でさえ「この木はまだ生きている」と感じると話す鈴木さんの作品は、命のエネルギーを模索し続けるものばかり。それぞれ異なる感性のコラボで同ギャラリーでは初の個展。 問い合わせは堤側庵ギャラリー 中内まで。電話0595(65)3002まで。