■いが再発見 No34
名張で生まれ、日本の本格推理小説、ホラー小説の草分けとして名声を博した小説家、江戸川乱歩(本名・平井太郎、1894〜1965)が亡くなって7月で53年目を迎えた。乱歩は2歳で引っ越したため、地元との縁は薄かったが、乱歩の活躍を地元民はよく覚えていた。57歳のとき初めて古里、名張を訪れた乱歩は大歓迎を受け、生家跡には碑が建てられた。その後、名張駅前に銅像も作られ、昨年からは愛好家たちが乱歩を供養する「柘榴(ざくろ)忌」を開催。乱歩の作品をテーマにした「読書会」も毎月開かれている。乱歩は今も名張で息づいているのだ。
今も江戸川乱歩は名張で息づいている
53年前に亡くなった乱歩がいまなお名張で根強い人気を誇るのは「乱歩蔵びらきの会」の活動によるものだ。同会の代表、的場敏則(としのり)さん(59)に話を聞く。
本好きだった的場少年は、江戸川乱歩が作りだした明智小五郎探偵や「少年探偵団」の活躍を文庫本で読み、夢中になる。ただの犯人捜しでなく、乱歩が描き出す「妖しげな世界にひかれた」という的場さんだが、乱歩が名張の生れであることは、当時は知らなかった、という。生誕地が名張だと知るのは高校時代になってからだ。
大学卒業後、東京で就職するが、30代で帰郷する。家業の電気店を継ぐためだった。しかし、帰っては見たものの、隣の伊賀上野とくらべて文化的伝統がないことに驚く。
「上野には芭蕉を顕彰する会や句会もある。それなのに名張には、探偵小説の元祖ともいえる江戸川乱歩の出生地なのに、ミステリー同好会の1つもない。なぜだ」
そこから的場さんの活動が始まる。2004年(平成16)に10人が集まり、江戸川乱歩を顕彰する……
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名張市内にある江戸川乱歩生誕地碑
「乱歩蔵びらきの会」代表の的場敏則さん
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