■■ 7月6日(土) ■■

 

■伊賀再発見 No72
引き継がれる100年の味 矢の伊の銘菓
えべっさんにちなんだ縁起物で、俵と鈴をかたどった名張を代表する人気のもなか菓子「福鈴」や「佐伊助饅頭(まんじゅう)」で知られる和菓子屋「矢の伊老舗(ろうほ)」が5月いっぱいで閉店することになった。後継者もいないため、現在、病気療養中の主人に代わって仕事を取り仕切る夫人の杉本茂見さん(61)が決断した。明治の初めから100年以上続く名店舗の廃業に惜しむ声も多い。幸い、長年、和菓子愛好者に親しまれた味は、名張駅前にある同業の「賛急屋」に和菓子職人ともども引き継がれることになった。(小谷虎彦)
杉本誠一郎さん
名張のハマグリ市で有名な鍛冶町の蛭子(えびす)神社の向かいにあるのが和菓子「矢の伊」。かつての初瀬街道筋にあたり、伊勢参宮の客でにぎわう江戸末期に茶店からスタートした老舗。その旅人に酒粕に上質の砂糖「和三盆(わさんぼん)」をはさみ、振る舞ったのが「佐伊助まんじゅう」の由来。まんじゅうの皮に酒粕を練り込み、酒風味のあるのが特長。それを考案したのが初代当主で、この名がつけられたという。俵と鈴をかたどった「福鈴」は、大粒のアズキの大納言のあんこがぎっしり詰まり、甘党ファンに喜ばれたうえ、福を呼び込む縁起物としても人気が出た。そんな伝統の和菓子を持つ老舗がなぜ廃業に追い込まれたのか。原因は若者の和菓子離れと、それに伴う経営難、後継者不足にあると思われる。昨年9月、お元気だった同店主人の杉本誠一郎さん(当時65)にインタビューしたメモが残っているので紹介したい。
2018年当時、名張菓子組合に入っているのが16店。20〜30年前は20店舗以上あったのが減り続けている、と指摘したうえで、しかも、その経営者の3分の2が60〜70代と高齢化。経営者難は今後も続くと予想した。「和菓子店の経営はどこも厳しいのが現状。何とか続けていくのが精いっぱい。しかし、お客に喜んでもらえればそれが生きがいです」と、現在の自分の立場を説明する誠一郎さんがいた。
杉本茂見さん
そこで今回、夫人の茂見さんに廃業に至る経過を聞いてみる。「主人は今年1月に倒れました。あと4〜5年は細々とでもいいから商売を続けてみようと話していた矢先でした」
続きは5月25日号の伊和新聞に掲載しています。※ご購読は名張市上八町1482 伊和新聞社 電話63局2355まで。定価月650円(郵送地区別途)、一部170円。

■アジサイ咲いた・名張商工会議所女性会の50周年記念
名張産業振興センター・アスピア(南町)前の花壇で、梅雨空の下アジサイが白い花を咲かせ訪れた人の目を楽しませている。名張商工会議所女性会が昨年9月、創立から半世紀を迎えた50周年を記念し、104株を植樹したもの。これまで道路沿い約26平方bに植えてあったツツジが枯れたのを機に、「会議所の玄関先を美しくしたい」という声が上がったことから、記念事業の一つに盛り込んだ。
同女性会は昭和43年8月、名張商工会議所婦人部として結成。これまで各界から講師を招き勉強会を開催、さらに映画会や、女性目線でのファッションショーを開くなど、多催な事業を行ってきた。
玄関先に優しく咲くアジサイの開花について、岩見敬子会長は「女性会創立50周年記念事業として植えたアジサイがきれいに花を咲かせました。春には桜、ハナミズキ、アジサイと季節の移り変わりを感じていただければうれしいです」と話していた。


「福鈴もなか」に、あんこを包む和菓子職人、金澤弘晴さん


「矢の伊」の暖簾と廃業を決意した杉本茂見さん


見ごろを迎えたアジサイ。名張商工会議所にて