■蔵持小 恒例の社会見学をZoomで・水道浄水場の役割を学習
名張市立蔵持小学校では毎年、名張市水道局の富貴ヶ丘浄水場を訪れ、名張川から送られた水が飲み水になるまでを学んでいる。今年は新型コロナウイルスの関係で遠足が中止になり、施設にはいけなかった。そこで今回はウェブ会議ツールのZoomを通じて学習することになった。
まず名張市水道部浄水室の担当職員がパソコンに接続されたカメラに向け、水の処理について説明した。そしてその内容を蔵持小学校の生徒は教室のテレビを通して学習した。
実験では川から取水した原水から石や砂を取り除き、活性炭を入れて臭いを取り除いて、ろ過装置で水を透明にした。しかし、見えない黴菌があるため、消毒液を入れて殺菌。飲み水に適しているかどうかを薬品を入れてピンクに変化すれば大丈夫という実験を披露した。
浄水場では定期的に検査して、飲み水に適しているかどうかを確かめているとのことだ。
■自然エネルギー 活用か環境破壊か・問われる青山高原の風力発電事業
青山高原には風車が多い。高原は全国に沢山あるが、これほど風車が集中している高原は珍しい。
一般的に高い山の上は障害物がないから風が強い。青山高原には若狭湾から琵琶湖を経て吹き抜けてくる高原の風は本州屈指の好風地域という。燃料がいらない風力発電所は建設費のみで、あとのエネルギー源は自然の風だ。高所に施設を整備するのは費用がかかるが、青山高原の尾根には県道が開通している。自衛隊の基地をつくるため県道を建設している。県有の森林もあり、県道は国道から麓で分岐し
頂上へ。さらに三角点を経て主要道の国道165号線ともつながっている。
青山高原で建設されている風車は80機以上あるといわれ、オーナーは数社あるといわれている。
クリーンなイメージが強いがこの風力発電にも公害があるらしい。低周波を発して周辺住民の身体に微妙な影響を与えるということだ。近隣住民になってみないとわからないが、本紙にも同様の投稿をいただいたことがある。伊賀市議員が地元住民と調査の要望書を出している。伊賀市には固定資産税を納めているはずだ。伊賀市や三重県などの公的機関が公害があるか、どのような影響があるのか一度調査をすべきだろう。(文責・辻本進)
■いが再発見 No126 伊賀の百科事典的記録「伊賀考」
俳聖芭蕉のこれまで知られていなかった名前や忍者の由来、名張・一ノ井から東大寺に松明(たいまつ)調進が行われている事実まで江戸時代の伊賀の地誌を百科事典的に記録した「伊賀考」(A5判、296ページ、3500円)が伊賀市の伊賀古文献刊行会から復刻出版された。江戸後期の藤堂藩士で文人でもある岸勝明(きし・かつあき=1741〜1815)の著作。有名な伊賀の特産品もリストアップされ、当時の名産を知ることで今後の観光や町おこしのヒントにもなるのではと、期待する人もいる。岸勝明が書き残した書物は四十数点あり、同会では今後、著作集を出すことが決まった。
「伊賀考」は、いつごろ書かれ、どんな書物なのであろうか。「伊賀古文献刊行会」の副会長で、地域誌「伊賀百筆」の編集長でもある北出楯夫さん(79)に聞いてみる。「伊賀考は1770年(明和7)に勝明30歳のときに書かれたもので、上中下の3巻に分かれています。勝明は享年76で亡くなっていますから、比較的若いときの著作です」
上巻は主に地元に残っている「風土記」「伊賀記」などの古記録を抜粋したものだ。
面白いのは中巻。手に取ってみると興味あることが書いてある。古人考には、鎌倉時代、焼失した東大寺大仏殿を再建した俊乗房重源の出身地は伊賀・馬野とある。出生地は京都だと思っていたが、伊賀という説もあったことが分かる。大泥棒で有名な石川五右衛門については「天下に聞たる盗賊の首魁たり、本当国石川むらの産にして幼名を岩吉といふ」とある。五右衛門は当時から石川が出生地となっていたのだろうか。また、俳聖芭蕉にも次の記事が載る。「芭蕉翁桃青か事、はせを(芭蕉)ハ松尾氏。名は清内と云」とある。北出さんによれば「芭蕉は幼名・金作、若いころの名前では甚四郎、甚七郎などが知られていますが、清内は聞いたことがない。これは新しい情報です」という。
下巻は4項目に分かれる。古語考では真冬の裸祭りで知られる伊賀・陽夫多(やぶた)神社の「だだ押し神事」を解説。また、名張・一ノ井村で道観という長者が毎年、東大寺二月堂に松明を調進することを始め、今もなお村民が松明を寄進し続けていることを書き留めている。伊賀忍者の起源では、「伊賀忍術ハ足利義輝の時、支葉武将といふもの基本源なり。伊賀の人甲賀の人其技を学て今に伝ふ。一名伏聴(ふくちょう)と云」とあるのが興味深い。「伏聴」とは「隠伏して敵の虚実を聴くこと(大漢和辞典参照)」だと、北出さんに教えてもらう。確かに言葉の通り、忍者の表現そのものだ。その「伏聴」が土産考にも出てくる。一瞬、奇異に感じるが、辞書では「土産(どさん)」とは@みやげA土地の産物の二通りの意味がある。わざわざその土地の産物として表現したかったらしい。
続きは7月11日号の伊和新聞に掲載しています。
※ご購読は名張市上八町1482 伊和新聞社 電話63局2355まで。定価月760円(郵送地区別途)、一部200円。
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カメラを前に実験する水道局職員
テレビを通じて学習する蔵持小学校の児童たち
「伊賀考」を手にする編集委員の北出楯夫さん
岸勝明の自筆稿本のコピー
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■茅の輪くぐり祭りで健康な心身を祈念 宇流冨志禰神社
名張の氏神様の宇流冨志禰神社で茅の輪くぐり祭りがあった。
6月28日夕刻、境内に集まった多くの氏子総代や檀信徒が一列に並び、中央に茅(ちがや)を束ねて作られた大きな輪をくぐった。この儀式によって邪気を払い、身を清め、健康な心身を作り上げることを祈念した。
■今夏の開業中止・名張市民プール
名張市教育委員会は6月24日、毎年多くの名張市民に利用されている名張市民プール(名張市夏見)を、今夏は使用しないことを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために中止を決めた。
名張市民プールは競技に対応できる50メートルと25メートル、幼児用プールの3種類があり、昨年は7月20日から8月17日までオープンし、約3千5百人が利用した。今夏は更衣室の「密」を避けるのが難しく中止を判断した。
■伊賀上野NINJAフェスタ中止
今年9月19日から22日に開催予定の伊賀上野NINJAフェスタは、6月29日に開いた伊賀上野NINJAフェスタ2020実行委員会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止することを決定した。2003年から始まり、今年で18回目だったが、中止は初めて。
同フェスタは本来今年のゴールデンウィーク(5月2日から6日)に開催予定だったものを延期し、9月のシルバーウィーク(9月19日から22日)を第一候補として検討していたもの。毎年全国から多くの参加者が訪れる人気イベントだが、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況や、当日の会場内での感染対策が十分に実施できないことを踏まえ、中止を決断した。
■いが再発見 No123 NHK人気番組の撮影裏話
重要文化財の仏像とツーショットの写真撮影ができることで知られる名張・西田原にある弥勒寺がこのほどNHKの人気紀行番組「ブラタモリ」で、伊賀地方最古で最大の等身大の役行者(えんのぎょうじゃ)像が全国的に紹介された(2月29日放送)。同寺の総代長・杉尾章(あきら)さん(73)によると「タモリさんが出演しているこの番組で、弥勒寺に関係する部分は3分間ほどでした。それでもマスコミの力は大きいです。放映後、実際に参拝客が増えてきましたから」とその影響力の大きさに驚いている。同寺ではアジサイ祭りを毎年開催してきたが、これでまたお寺を知ってもらえる機会が増えると、期待している。
「ブラタモリ」では、なぜ伊賀に忍者が生まれたかというのがテーマ。古琵琶湖層が成り立ちとなる伊賀の複雑な地形、500年前に作られて今に残る650の土塁の謎、土地をめぐる争いから生まれた武装農民、さらに伊賀には100体以上の役行者像が存在することから、かつて伊賀では修験道が盛んであったことが分かる。修験道者である山伏から情報収集、地形把握、薬草などを学んだのが武装農民で、これが忍者のルーツではないか。さらに天正伊賀の乱で最後の決戦となった柏原城跡も紹介する番組。
杉尾総代長によれば弥勒寺部分の放映は3分間ほどだったが、実際の撮影と準備を合わせれば何日もかかったという。「最初は昨年12月19日に電話がありました。NHKのものですが、役行者像を取材させてもらえませんか、と。番組名はいいません。もちろんOKしましたが」
1回目、実際に下見にきたのは1月6日、2人がやってきた。「たぶんNHKの制作会社のスタッフだったのでしょう。あちこち見て帰られました」と杉尾さん。
2回目が1月18日。この時も2人。「同じ人でしたが、この日はカメラアングルなども考えているようでした。本人たちからは番組名の話は一切なし。ただし、地元の関係者も同行していて、その人がなにげなくポロッと、これはブラタモリの番組や、と漏らしたのです。それでようやく番組を知ることができました」
NHKの関係者からは「番組名は口外しないでください」ともちろんいわれてしまう。
3回目が1月21日、この日は撮影本隊が十数人でやってきた。しかし、現場に入れるのは、タモリ本人、林田アナウンサー、説明役の三重大・山田雄司教授の3人だけ。地元の人たちは一切オフリミットだった。杉尾総代長はいう。「撮影は1時間くらいでした…
続きは6月20日号の伊和新聞に掲載しています。
※ご購読は名張市上八町1482 伊和新聞社 電話63局2355まで。定価月760円(郵送地区別途)、一部200円。
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宇流冨志禰神社の茅の輪くぐり祭り
「ブラタモリ」の撮影風景の載ったチラシを手に撮影時を振り返る杉尾総代長
本堂にある等身大の眼光鋭い役行者像を前に説明する岩本善雅住職
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