■■ 7月25日(土) ■■

 

■美旗メロンの販売開始
名張市特産の「美旗メロン」の直売が12日、JAいがふるさと南部カントリーエレベーター(名張市上小波田)で始まった。美旗メロンは芳醇な香りの赤玉とフルーティーな味の青玉があるが、どちらも糖度が高く値段も手ごろと好評だ。
出来栄えについて山崎晁路・美旗メロン部会長(78)は「生産農家が減り、出荷数は昨年より減るが、大きさや品質は変わらない。形、甘味も上等だ」とのこと。コロナウイルスの関係で試食や品評会は取りやめた。
価格はSサイズから4Lサイズで1玉1,000〜2,000円、2玉箱入りはLサイズから3Lサイズで、3,700〜4,100円となっている。8月10日ごろまで販売予定だが、当日販売分が無くなり次第その日の販売は終了する。

■いが再発見 No127 企画展「芭蕉〜仲間と作り上げた世界〜」
「蕉門」という今でいえば強固な結社・芭蕉グループを組織した俳聖芭蕉(1644〜1694)と門人たちとの交流をテーマにした企画展「芭蕉〜仲間と作り上げた世界〜」が、伊賀・上野丸之内の芭蕉翁記念館で開かれている(9月13日まで)。芭蕉の最古参の門人で、かれが最期まで頼りにした江戸の富商、杉山杉風(さんぷう)に送った芭蕉自筆の書状を中心に、江戸、近江、故郷の伊賀上野とゆかりの仲間たちを取り上げた展示会。芭蕉の杉風宛の書簡は流麗な筆致。芭蕉の終生の後援者で、「奥の細道」の旅立ち以来、世話になり続ける杉風への信頼が十分うかがえる内容となっている。
芭蕉翁記念館を入って正面一番奥が「芭蕉と江戸の仲間たち」の展示。その真ん中に芭蕉が晩年の1694年(元禄7)に門人、杉風に送った手紙がある。もちろん本物だ(展示は8月3日まで)。解説をお願いしたのは同館学芸員の高井悠子さん。私も学校で芭蕉の「奥の細道」や蕉門十哲の名前はいちおう習った記憶があるが、杉風がその1人かどうかは定かでない。杉風は芭蕉の弟子の中でどんな位置を占めるのだろうか。「十哲といっても、選ぶ人によって、そのメンバーが変わります。しかし、2大蕉門といわれる宝井其角、服部嵐雪とともに杉風は外せない人ですねえ」
それよりなにより杉風は芭蕉にとって最大の後援者、財政的パトロンなのである。有名なのは芭蕉が「奥の細道」に旅立つのは杉風の別宅から。杉風も見送った1人である。大火で焼けたが、深川の芭蕉庵を提供したのも杉風。物心両面で芭蕉を援助したのである。高井さんはいう。「芭蕉の奥の細道の旅は杉風なしには成立しなかったかもしれません」
杉風の家は屋号が「鯉屋」と呼ばれる幕府御用達の魚問屋。財力があるうえ、性格的に温厚篤実、面倒見がいいとなれば、芭蕉にとって最高の後援者だったに違いない。解説文に、芭蕉は臨終の際、杉風あての遺書に「長い間のご厚情、死後まで忘れることはありません」と書いていたとある。これを読むだけでも杉風への親しみがわく。
書簡は杉風の援助で江戸の弟子、子珊(しさん)が刊行した俳諧の書「別座鋪(べつざしき)」が、京大坂でも好評で、向井去来もほめている、としたうえで、自分はお盆を故郷の伊賀上野で過ごした後、京へ戻るといった内容だ。高井さんはこんな話もしてくれる。「杉風家に伝わる芭蕉関係のコレクションは屋号の名前にちなんで鯉屋物(こいやもの)とよばれ、専門家の間では筋がいい、価値があると珍重されます。それはやはり杉風が芭蕉に信頼されていたことと何か関係があるかもしれません」
その横には蕉門の双璧(へき)とうたわれた其角の発句短冊、嵐雪の角力の句が並ぶ。この展示を見て、3人が江戸蕉門の重鎮であることを感じさせる。
続きは7月18日号の伊和新聞に掲載しています。
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芭蕉の杉風宛書簡を解説する高井学芸員