「絵はメッセージ」 菊本哲史さんと石川勉さん
二人三脚で絵画展
 重度の障害をもつ名張市桜ヶ丘、菊本哲史さん(三十八歳)と、菊本さんに絵の助言をしている同市桔梗が丘四番町、石川勉さん(七十歳)が十八日から二十日まで、ジャスコ新名張店リバーナホールで「てつ&つとむ絵画二人展」を開いた。
  菊本さんは四肢や言語、視力に障害をもち、身体障害者デイサービスセンター「青蓮寺オーラック」(松山みち子施設長)に通所している。津市の城山養護学校に通学していたころから絵に興味があったというが、本格的に書き始めたのは現在の施設に入ってから。食事や入浴などの合間の創作活動の時間に絵筆をもつようになった。
  石川さんは伊賀洋画作家協会、名張市美術作家協会に所属。奥さんが青蓮寺オーラックでボランティア活動に携わっていることから、演劇公演の背景画の制作を手伝うために施設を訪れるようになった。たまたま菊本さんの絵を目にして、本格的に描いてみることを勧め、「作品がたくさんたまったら、いつか二人で作品展を」と励ました。
  手と視力の障害というハンデを抱える菊本さんは、絵の具のふたを開けたり水を換えたりする作業を施設のスタッフに手伝ってもらいながら、時間をかけて花や静物などの作品を描いた。月に二度は施設に足を運ぶという石川さんは、それを見てアドバイス。二年にわたって二人三脚の制作をつづけ、当初は五年か十年先と思われていた作品展にこぎつけた。
  会場には菊本さんの水彩画三十二点、石川さんの作品二十五点を展示。石川さんは「色づかいや構図が大胆で、とても独創的」と菊本さんの作品を評価。会場を訪れた美術仲間からも「童心を忘れていない絵で、心が洗われるよう」など讃辞が寄せられたという。
  菊本さんは、言語の障害のため人とのコミュニケーションがとりにくいことから、「絵は私の言葉、メッセージ」といい、作品展前には不安や緊張を感じたともいうが、会場では「次の作品展には、畳一枚ほどの大きな絵を出品したい」と意欲を見せていた。

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