初夏の訪れとともに花しょうぶの競演が開幕\。奈良県宇陀郡室生村滝谷の「滝谷花しょうぶ園」が、一年で一番にぎわうシーズンを迎えている。約三万三千平方メートルの敷地には六百種百万本の花しょうぶが植栽され、六月上旬から七月上旬にかけては花しょうぶとあじさいが満開。初夏の園内は家族づれなどの入場客であふれかえる。 同園の開設は十九年前。一帯は土壌と水源に恵まれ、「菖蒲谷」とも呼ばれた花しょうぶの名所。この山里の村おこしをめざし、地域の有志が休耕田を利用してオープンしたのが始まりだった。いまでは花しょうぶの里として広く知られ、奈良や三重、愛知、大阪を中心に全国から愛好家が訪れる。 三月末の枝垂れ桜に始まり、芝桜、てっせん、あじさい、花しょうぶと、季節それぞれの「花のメドレーリレー」はリピーターを多く集め、六月十七日から二十七日までの「蛍の夕べ」のほか、撮影会、お茶会、草もちつき大会などファンをもてなす企画も多彩。農家の食卓からも姿を消した山野草など、「食」もたっぷり楽しめる。 緑の大自然の中でリフレッシュするにはうってつけの空間だ。入園料は大人八百円、小人四百円。開園は午前九時から午後六時(「蛍の夕べ」は午後九時まで夜間営業)。問い合わせは同園(電話0745・92・3187)へ。