▼ぴーぷるステーション【NO.12】
伝統工芸士「普門窯」・峰興徳さん(63)

■陶芸の道は生涯が修行
 「昔に比べ、需要はめっきり減りました。ですが、伊賀陶芸会のメンバーは24人。皆さん伝統産業の振興に取り組んでおり、破れ袋や花入れ、水指などに見られる古伊賀の技術も生きていますよ」。陶芸の道に入って約45年、伝統工芸士で「普門窯」の峰興徳さん(63)”島ヶ原村”の信念は揺るがない。
 父親が可塑性と粘性に富んだ木節粘土を滋賀・信楽へ出していたことから、18歳で作陶への夢を抱き京都市立工芸指導所に飛び込んだ。
 粘土試験から手びねり、ロクロによる成形法、釉(ゆう)薬、彩色、焼成・温度測定などを学び、さらに信楽焼の窯元で1年間「登り窯」の修行を積み、郷里の粘土採取跡で陶房づくりにかかった。
 「窯名は地元にある普門山正月堂からいただきました。私は当初から、古伊賀の技法を真似ようと思わず、違った感覚で自分の゛伊賀゛を創造しようと努めてきた。どうにか最近は満足できる作品を出せるようになったが、この世界は生涯が修行ですよ」と、峰さんは伝統工芸士という資格におごらず、自らにも厳しい。
 現在、この窯元は伊賀まちかど博物館の1つにもなっており、訪れる人たちに陶土の知識やロクロ技法を快く指導。「連絡をいただければ、いつでも気楽にお越しください」と話す。

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