▼ぴーぷるステーション【NO.50】

山添村教委職員・田部剛士さん(26)

■予想上回る発掘の成果
 地元の里人でさえ、ほとんど足を踏み入れたことがないという、奈良県・山添村毛原小字越町の笠間川沿いで、古墳時代後期の集落遺構「越町遺跡」を発掘した、同村教委職員の田部剛士君(26)は、「期待以上の価値ある成果。3か月の現場作業の苦労が吹き飛びました」といかにもさわやか。
 「まだ発掘は続行中。今後、新たに何が見つかるか。作業に参加してくれる地元村民の連日の頑張りに感謝しています」とも言う。大学で考古学を専攻、毎日、橿原市から村役場に通勤。発掘を続けながら応援の後輩大学生2人と共に、出土した土器の復元作業にも取り組む。
 「一番の収穫は、なによりも、この新遺跡が歴史的に見て、板蝿杣の杣人が住んだ集落跡であり、ナゾの多い近くの大寺・毛原廃寺や、近くの河畔に残る平岩古墳とも密接な関係がある可能性が強くなったこと。杣人や黒田荘との関係など、これから再勉強しなければならぬことができ、毎日が充実しています」
 遺跡は、まさに板蝿杣の中心地と古文献に記録した山林地帯。名張のテレビ塔が立つ茶臼山山頂からは約1`近くにはゴルフ場も登場した。名張川筋でいくつもの縄文遺跡調査にも当たった経験を持つ田部君は、「こんどの発掘で、板蝿杣一帯の古代史の深さを実感しました」と語った。

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