▼ひと【NO.2】
若手女流プロカメラマン・川地美貴さん
■いいものが撮れたネ
若手女流プロカメラマンが展覧会

 先日、展覧会を開いた若手女流プロカメラマンの川地美貴さん。大学卒業後、大分の写真館で3年間修業した後、デンマークでコマーシャルカメラマンのアシスタントとして経験をつんだという。その成果を今回の展覧会に出展した。
 「デンマークでの修行は自分が本当にこれから写真を続けていくかどうかを自問自答するよい経験だった」と。父は有名なカメラマンの清広さん。実家が写真館なので幼いときから写真に囲まれていた。父は「後を継げとはいわない」というが、それが無言の圧力、というか勝手に漠然と後を継ぐのかなと思っていたと。
 写真家の道を選んで大分に修行に行ったが、家に戻ってしまう前に何かしたとデンマークに。そこでの生活は想像していたよりはるかに厳しく辛い毎日。「あなたは本当に写真家を続けていく気持ちがあるのか」といわれたことも。いろいろなことを考える日々。与えられた課題をこなすためには、重すぎて乗れない機材を自転車に乗せ、1時間ほど押して歩いた場所に何日も通い詰めなくてはいけなかった。
 浮浪者たちの横で何時間もベストショットが撮れるまで粘る毎日。そうしているうちに、毎日来るアジアの女の子に興味を持った子どもたちと知り合いになって、できた写真が今回の代表作。子どもが二人、額をくっつけ合って、しゃがんでいる可愛らしい写真。今にも動き出してこちらに話しかけてきそうで印象的だ。帰国の直前に、今まで厳しかったCMカメラマンが「いいものが撮れたね」と言ってくれたことが何よりうれしかった。思い出し、少し涙ぐんだように見えた。
 「父の存在のプレッシャーを感じないといけないのかもしれないけれど、実はあんまり何も考えてないんです」。将来は、自分にしか撮れないような温かい作品を撮りたい。春風のように爽やかで、しなやかな強さを感じた。
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