▼ひと【NO.2】
UD「同夢」の代表で活躍・孫美知さん

■理想の社会めざして
 法人格をこのほど取得した、特定非営利活動法人ユニバーサルデザイン「同夢」の代表を務める、孫美知さん(52)は、韓国人の両親をもち、在日韓国人として育った。
 「日本にいると、韓国人。韓国に行くと、日本人なんです。差別され、自分の存在に悩み、辛い時期が続きました。子どものころから、いろんなことを考え、複雑な性格になってしまったように思います。でも、代表として出て行く機会も増え、自分の良い部分を出せるように心掛けています」。
 もともと、CADを使い、建築物の設計に携わっていたが、母親の介護をきっかけ

に、建築物のバリアフリーについて勉強するようになった。現在は、ユニバーサルデザイン(UD)に関する講演を行い、活躍中。各地で、啓発活動に努めている。
 最近、「子どもに対してUD教育をするより、大人がもっと知る必要があるのではないか」と感じている。「子どもに教育しても、学校にいる間の理想となってしまっているんです。社会人となったときに、営利目的の中で今まで学んだことが覆されてしまうことが多い。例えば、偽装工事で騒がれている、ビジネスホテルチェーンの社長が、年間数人しかいない車椅子利用者のための施設が必要だろうかと会見で言っていました。企業のトップから変わらなくてはいけないと思います。高齢社会において、車椅子利用者だけでなく、みんなに優しい施設を造ることは、売り≠ノなるはずなのに…」と、苦言を呈する。
 「先日、車椅子の先生の講演会を計画。名張市内のホテルに尋ねてみました。あるホテルは、レストランから入ってもらうと、何人かがかりで、車椅子を運ぶ形でした。それでは、気持ち良く泊まれるはずがありません。結局、呼ぶことができなかたんです。でも、名張は、観光地で温泉が出る土地。宿泊できる場所を探している人がたくさんいる現実と合わせて考えてみても、そこにビジネスチャンスはあると思うんです」。
 バリアフリーにすることは、障害者専用にすることではない。全ての人にとって使いやすい施設を造るということ。その考え方がユニバーサルデザイン(UD)。「ユニバーサルデザインとわざわざ言わなくてもよい社会が、理想の社会」。
 「今は、いろんな先生方の本で勉強して、言わば借り物の言葉で話をしているんです。そうじゃなくて、自分の言葉でUDを語れるようになりたい。孫流ユニバーサルデザイン(笑)を確立したいんです」。
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