▼ひと【NO.4】
ファボール鴇代表・中山登貴さん

■老いても個性を重視
 つつじが丘北2番町で通所介護(デイサービス)施設「ファボール鴇(とき)」を運営する、NPO法人「和喜会愛(わきあいあい)」の代表を務める中山登貴さん(44)。
 和喜会愛は、「老いてもいつまでもその人らしく地域で暮らす〜」ことを支援するために、中山さんを中心に、立ち上げられた。中山さんは元々、介護の仕事をしていたが、現場職として常々、高齢者一人一人にそぐうサービスを受けてもらいたいという思いがあった。「大きな施設だと、「今日はこれをしましょう」というものが決まっていて、全員揃って同じことをする。でも、みんな、日によって気分が違うんです」。出来るだけ希望に添いたい。しかし、「お年寄りたちは、自分の中に、今まで培って

きたものがあるので、なかなか、こちらの思うようにはしてくれません。それを個性と取るか、わがままと取るかが難しいところ。そこを、なるべく個性として聞いてあげたい」。人対人なので、いろいろなケースがあり、悩みも多い。実際のところ、やりがいを感じる余裕はあまりない。「各個人に、どこまで合わせたらいいか…。すごく深くて難しい問題がたくさんあります」。一人一人に対応するため、ファボール鴇では、スタッフの方が多い時もある。運営も、「必要経費で、お金は右から左へ流れていきます。人が聞いたらびっくりするぐらい安い給料で、みんな頑張っています」。それでも、高齢者たちが慣れ親しんだ地域の中で見てあげたい。
 地域全体で、高齢者を支えていく必要があるとして、「ここ(ファボール鴇)は、普通の賃貸の一軒家なのですが、出入り口に手摺りとスロープを作ったぐらいで、対応できています。お風呂もそのまま。実は、家の大きな改修はあまり必要ありません。そうは言っても、一家庭ですべての介護することは大変。よっぽどの覚悟が必要です。今の名張市は、要介護高齢者を持つ家族を、地域の中で支えていく仕組みがない状態です。家族が疲れ切って投げ出してしまえば、もう終わり。高齢者の中には、知らない施設に預けられたりして、悲しい思いをする人もいます」。
 自分自身は、セミナーに参加することが好きで、遠くまで足を伸ばす。また、実際に、方々の施設に泊まってくることもある。3月12日に開催する老人介護講演会の講師の方々は、中山さんの人脈。さまざまな角度からの話を、地元で聞けることで、「福祉の理想郷名張」にむけ、自分たちの町にあった支援体制を考えることができるのではないかと考えている。
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