▼ひと【NO.1】
被弾ピアノコンサート〜過去〜現在〜未来  La Pesca代表 中井千明さん

■戦争を語り継ぐ責任
 約10年前、箕曲小学校のママさんコーラス隊として発足した「LaPesca(ラ・ペスカ)」(代表・中井千明)。現在、箕曲公民館で週1回の練習を楽しんでいる。メンバーは、30代から50代の女性10人。代表で部長の中井さんは、「普段は、本当に地味に活動しています」という。
  今回、市民公益活動実践事業で主催をすることになったのは、知り合いからもたらされた話がきっかけとなった。まず、「被弾ピアノを知っていますか、と聞かれたのですが、メンバーの中には知らない人も多かった」と。通称「被弾ピアノ」といわれている楽器は、太平洋戦争当時、蔵持小学校にあったピアノ。終戦間際に、機銃掃射で被弾され、その後、蔵持小学校の片隅に保管されていたが、2年前、戦後60年を機に、脚光を浴びた。
  戦火をくぐりぬけたピアノの足は、銃弾が貫通し、ペダルが折れ、音が下がり、痛々しい姿だった。「戦争の実感って私たちにはありません。でも、被弾ピアノは、実は身近な所にも戦争があったという証拠です。子どもを持つ母親として、戦争を語り継ぐ責任があります。また、戦争を知る高齢の方が少なくなってきた今、風化させずに後世に伝えていくことは、重大な役割である」と思ってる。
  これらを伝える「被弾ピアノコンサート〜過去〜現在〜未来」は、28日午後1時30分開演、武道交流館いきいき多目的ホールで開催される。
  オープニングは過去。名張での被災体験を名張音訳グループ「こだま」が朗読するところから始まる。演出として、ライトと映像を駆使。ピアノが爆撃を受けたような効果を狙う。続いてピアノ独奏があり、蔵持小学校子どもコーラス「かたつむり」が「ちいちゃんのかげおくり」を。その後、コンサートタイムをはさんで、現代の戦争へ。「今の世界中の戦争を映像で流すことで、名張がどれだけ平和で幸せかということを再認識してもらって、平和への意識を高めてもらいたい」という。最後は未来。手話で「世界中の子どもたちが」を歌う。「あの青い空のように」は、出演者と会場に訪れてくれた人全員で歌い、フィナーレを迎える。


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