▼ひと【NO.3】
高齢化社会と防災     柏 元三さん

■桔梗が丘自主防災委員会を
 桔梗が丘自主防災会の会長である柏元三さん(桔梗が丘8)は、桔梗が丘地区に焦点を絞り、より震災予防活動を重視した独自の「桔梗が丘自主防災委員会」の立ち上げを提案。設立に向け奔走の毎日。本業は通信販売会社代表。本業との掛け持ちで、委員会設立に向けての活動に、全ての時間が費やせないことが、現在の悩みという。
  防災会の設立は平成18年6月。会員は、桔梗が丘地区の区長やまちづくり委員、消防団員など28人。「現在組織されている、市統括の自主防災組織が本当に機能するだろうか」という疑問から出発した。以後、さまざまな資料を集め東奔西走。「約1年間、勉強しまくりました」と、柏さん。被害を受けないことより被害を最小限に止めることを重点的に考え、「減災」を提唱している。
  いかに被害を少なくするかを考える上で、高齢社会である現状を鑑(かんが)みないといけない。「今さら、家をさわるのは面倒」「地震が起きたら、その時はその時…」「なんとかなるやろ」と、耐震を億劫に思う高齢者は多い。柏さんは、「実際、ホームセンターに売っているような耐震用の商品でも自分で設置するのは意外に難しい。業者さんに来てもらうのも煩わしいし…と躊躇(ちゅうちょ)しているお年寄りは多いんですよ。そんな人たちの手助けをして、地震への備えをするのが委員会の目的です」という。
  高齢社会と防災は共通の発想でつながる。高齢者は災害弱者と言われる。桔梗が丘は、西地区を除くと、高齢者率は約2〜3割。独居高齢者は年々増加している。会のスローガンは、「一人の命もなくさない、一軒の家も失わない」。自分たちの家族や友だち、町は自分たちで守ろうと呼びかけている。
  5年前。上野城に行く機会があった。その時、上野城内を散歩し、思い思いに会話をしながら和む高齢者たちの姿を目にした。「ああ、いい風景だなと思った」。会を立ち上げるきっかけと言えば、その時の思いから。人と人の「絆」の大切さを感じた。
  その後、桔梗が丘8番町の区長に。「友だちをつくりながらパトロールをしよう」と、パトロール隊を結成。活動を続ける間に、友だちが増え、輪が広がった。「町中がみんな友だちになると、悪い人も入りにくい。そこから、スタートしています。互いに助け合うことは、防犯だけでなく防災にも応用できる。住んでよかったと誇りに思える町になるはず。そこに共通するのは絆(きずな)です」。
  防災委員会設立の提案に至るまでには、さまざまな経緯があった。現実には、反対意見も多い。「私たちの活動している桔梗が丘自主防災会は、みんなボランティア。でも、地域のために必死です。だから、発想の貧困な市の危機管理室や、危機感のない一部の人たちに腹が立ってしょうがない」と、憤りを隠さない。
  今月中に住民説明会を開いた後、桔梗が丘全戸にアンケートを取る。その結果次第では、委員会設立を見ずに、会の解散も危惧(きぐ)される。「私たちは、もうエネルギー切れ寸前なんです。住民の方がたの協力を求めています」。

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