■自己抑制が大切
WFWP(世界平和女性連合)京都府連合会議長の深田實江子さんは現在、京都市立看護短期大学助手、京都大学医療技術短大看護科非常勤講師と多忙な毎日。21日には名張市総合福祉センターふれあいで「性教育と男女共同参画について」の講演会を行った。深田さんは、6年前から、エイズ予防教育の一環として、自己抑制教育を授業に取り入れている。
講演活動に入るきっかけとなったのは、自分の子どもの身近に起きた事件だった。「息子の友人の母から聞いた話でしたが、援助交際をしていた同級生の女子高生が、HIVに感染したそうで…。その女子高生は、感染の事実を知って、独りで死ぬのは嫌だからと、たくさんの男の子を誘っているらしい…と。この話を聞いて、ぞっとしました。自分の子どもは、自分で守らなくては…と思いました」と、回想する。
HIV感染者は、先進国で増加の一途を辿(たど)っている。これは、若年層の性行動が活発になっていることが問題で、現在の高校生の約2分の1は経験済みとの報告も出ている。また、統計を見てみると、10代は圧倒的に女性の感染者が多いが、一方で、50代では男性が多い。これは、性を売る側、買う側に感染が広がっているという現状を物語っている。
また恐ろしいのは、性的関係を持った相手が、複数の人と関係があるとすると、過去をさかのぼれば、その人数は、ネズミ算式に増えていく。その中に一人でもHIVに感染した人がいれば、感染する可能性がある。
深田さんは、「現代にこそ、HIVだけでなく他のSTD(性感染症)を予防するためにも、結婚するまで性的関係を持たないという自己抑制が大切です」と言う。
遺伝的、動物的に男子は、生命存続の種を持つ主体として、性に対する強い欲望がある。また、女子は、種を受け、育む役目を持っている。しかし、思春期は、大人になる準備をすべき時。高校生には、「どんな大人になりたいですか?」「あなたは今、良い親になれますか?」と問いかけるという深田さん。HIVの恐ろしさをしっかり伝えなくてはならない――と活動を続けている。
「エイズは、自分で選ぶ病気です。自己抑制が大切です」。メディアからの悪いメッセージが氾濫(はんらん)している今、「大人の責任も大きい」と。 |