▼ひと【NO.10】
自然体で現在進行形       長船 侍夢さん

■次代を担う一陽会会友
 日本美術家連盟会員で一陽会会友の長船侍夢(おさふねじむ)さん(38、桔梗が丘5)は14日から19日まで、「ギャラリー閑」(桔梗が丘2)で展覧会を開いている。長船さんは、絵画だけでなく彫塑も手掛け、名張美術界の次代を担う人物との呼び声も高い。
 絵画作品制作には、主としてアクリル、テンペラ、油彩絵の具を用いるが、今回の展覧会では、あえて油の作品だけ24点を展示する。トップを飾るのは、一陽会本展で会員推挙された作品。
 長船さんの作風はいつも寂しげで、「今まで、なぜか笑顔の作品って描いたことないんです」と話す。
 現在、錦生や薦原公民館で講師を勤め、小学校で非常勤講師も。が、基本的には、人前で話すことが苦手。よく、作品と本人のイメージが違うと言われる。「この間は、僕が作者だと気づかれなくて…(笑)。でも、スーパーに買い物に行って、お菓子売り場をうろうろしたりするのを見られると恥ずかしいから、顔は売れなくていいんです。作品も主張する方でもないし。モチーフも、その時々にいいなと思ったものを気持ちのままに作品にするという感じで。空虚感というか…ただ、その空間を感じ取ってもらえればいいなと思っています」とシャイな人柄を垣間見ることができる。
 大学入試を目前に控えるまで、美術方面に進むことは考えていなかった。奈良芸術短期大学入学後は、とまどうことも多かった。「何も知らなかったから、担当の先生につききりで教えてもらいました。専攻科まで行ったのですが、在学期間中、無欠席!今時の大学生にしては、珍しいでしょう」と充実した学生生活を過ごす。
 卒業後、古典技法を習得するため単身渡独。公園で自作の絵画を売って生活費に充てるなど、ヨーロッパの文化を肌で感じる貴重な経験を積んだ。
 父母との約束だったという1年後に帰国。しばらくしてから、彫塑を始めた。彫塑によって、絵画的に開眼した部分もあるという。現在、日本全国あちこちの展覧会に出品しているが、「展覧会は、好きなんです。期日を決められるから、切りがつく。期限を言われないと一つの作品に際限なく時間を費やしてしまいそうで。でも、そうして切りをつけた半年前の作品を見て、恥ずかしくなることもあります」。肩に力を入れず自然体で、現在進行形。ギャラリー閑の案内葉書には、「彼の`今aをご覧下さい」とある。

 
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