▼ひと【NO.6】
漬物の曲は簡単  〜武田富子さん

■「心を摘んで」第5集出版
元小学校教師の武田富子さん(名張市薦生、85)はこのほど、日々、思いつくままに口ずさんだ歌を綴った歌集「心を摘んで」の第5集を出版した。43曲が掲載され第1曲目は、「今日も一日」。歌詞には、「サァサー 今日も頑張ろう にぶい動作も かけ声は 誰にも負けない老自慢」。
 「心を摘んで」第1集は平成14年出版。薦生の里のすばらしさを歌に残したいと思ったことが、きっかけだった。「子どもへの説教のようなつもりでした。時代が変わりましたし、このころの子育てに思うことや、自分の心の動きみたいなもんを綴ったんです。地獄、極楽ありますから、ちゃんとしっかりやっていかないと地獄にはまるよ…みたいなのとか…(笑)。ちょっとでも、若い人の勉強になるといいなと思いました」と当時を振り返る。
 歌は、生活の中で自然にわき出てくる。「毎日、畑仕事で忙しいのですが、畑で、草まめしになっている時に、ちょちょっと感じたようなことを、家に帰ってから思い出して、落書きノートみたいなところに書いて残しています」。作ろうと思うと、なかなか作れないが、春は、たくさん出てくるという。
 採譜担当は、夫の昌一さん。ピアノが上手で、妻が、口ずさんだものを譜面に採る。「私が、鼻歌でふんふんふんと歌ってると、主人が横から、それはこうとちゃうかって言って、弾いてくれるんです。そしたら、それはそうと違うとか、ここはもっとこんな方がいいとか…、いろんなことを言いながら、やっています」。曲調は、誰でも簡単に口ずさめるように、平凡で簡単であることを心掛けている。
 「昔の人は、鼻歌を歌ったらあかんって言いましたが、私は、鼻歌を歌うと、熱さも寒さも苦労も忘れます。元気の素」。
 第5集には、知人のリクエストを受け、漬物の曲が多い。「小梅ちゃん」「福神漬君」「たくあん漬け」「奈良漬けちゃん」など8曲。「漬物の曲なら簡単にできます」と笑みも。
最近は、「毎日、自然に感謝し、先祖が守ってくれるおかげ、ありがたいなあと思っている。悪いことしやんと、もう最後に、みんなに喜ばれて死にたいねんけどな。テレビなんか見ても、なんでこんな世の中になったんやろうな、とか、そればっかり思っています」。

 
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