▼ひと【NO.7】
おるすばんハウス 中村大学園長

■モットーは ひ・ま・わ・り
「『ひ』とつしかない大切ないのちが、『ま』っすぐにすくすく育つように、『わ』かちあい、『り』かいしあい見守る保育」をモットーに6月、桔梗が丘6番町に名張で初の認可外保育所が開設された。「太陽に向かってすくすくと育つイメージ」として、「おるすばんハウス ひまわり園」というのがネーミングの由来。園長は中村大学さん(42)、同園主任は妻の佳代子さん(40)、ともに桔梗が丘出身だ。
 中村園長は、皇學館大学国史学科を卒業後、外食チェーン店に就職。「当時は、故郷を捨てて、上れるところまで上りつめてやるぐらいの気持ちでガムシャラに頑張ってたので、ほとんど実家にも帰らなかった」と振り返る。しかし5年前、景気悪化に伴い、外食産業にも陰りが見え始めた。我に返ったとき、「残りの人生は、自分たちのために生きよう」と、佳代子さんの昔からの夢だった保育所開設へと、やっと踏み切る覚悟ができたという。
 開設にあたり知識を広めた。さまざま方向から多種多様の勉強を行った。そして、資料の中で名張市は待機児童数ゼロだったことを知った。「当初開設は、神戸、東大阪、横浜などを考えていました。しかし、土地勘もない上に良い物件もなく、二の足を踏んでいました。そんな折り、時々地元に戻ってきて友人たちに聞くと、名張市内での実際の需要と、数字にあがっているのとは違うんじゃないかという話を聞いた」と話す中村園長。そして目を移し、名張でリサーチを始めたところ偶然、佳代子さんの元同僚が持ち主という庭付き木造2階建の広い一戸建住宅を見つけた。そこで中村さん夫婦が、認可外保育所開設についての話をすると共鳴し、快く園舎として貸してくれることになった。「地元に戻ってくると、やっぱりみんな優しい。しみじみ感じている」と。
 オープンから3か月経ち、現在は24組の会員がいる。子どもたちの年齢は、1歳前後が多いという。一時保育の子どもには、ひとみしりされることも多いが、そこは中村さんの明るい人柄でカバー。甘えてだっこを求める子どもたち2人を両腕に抱えていることも多い。
 預ける家庭の実情を聞く機会も増えた。「母子家庭で時間を問わず働かなくてはならない人もいる。フルタイムの雇用先が見つけられなくて、パートタイムで働く人もいる。夜間勤務など時間次第では、保育所に預けられなくて、うちに来る。今から、就職活動をする人もいるでしょう。でも、そういう人たちには、行政からの補助はない。普通の保育所に預けている家庭は、収入に応じて援助の手が差し伸べられるのに、結局、全部自己負担となると、何のために働いているのかわからない…という状態になる。こちらも食べていかなくてはならないから、ボランティアではできない。今は、何とかならないか…と、あちこちに問い合わせたり、意見を文書にして送っているところ」。先日は、県の健康福祉部にもかけあってみたという。今は、園の経営というより、何とか利用者の状況が改善されることを願う気持ちが大きく、日々奔走中だ。
  「働くお母さん方の力になりたい。既存の保育所と連携のとれたすみ分けをしていきたい」。

     
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