▼ひと【NO.8】
水の風景写真2人展開く 東出勲・昭子さん

■引退後の夫婦生活
 10日から12日まで、新町のやなせ宿(旧細川邸)で「第5回デジタル写真2人展」を開くのは、東出勲さんと昭子さん(富貴ケ丘)。
 写真は、最初から2人で始めたわけではなかった。平成8年に昭子さんが名張公民館の写真教室に通い始め、1年間受講した。その当時まだ会社勤めをしていた勲さんは、自分が「アッシーくん」だったと振り返る。昭子さんが撮影に行きたい時には、勲さんが足となり多方面へ自家用車を飛ばしていた。そうして付き合ううちに、次第に勲さんも写真の魅力にはまり、平成9年には2人で撮影に行くようになった。
 今は、近場も含めると月に3回はどこかに出掛けている。最近心配していることがある。「年を取れば必ず夫婦どちらかが1人になりますわね。平均寿命を考えると、女性の方が長生きでしょ。独りになったらどうやって撮影に行くだろう」と、運転のできない昭子さんを気遣う。
 撮影旅行に出掛けると、勲さんと昭子さんは現地解散。勲さんは主に風景が好きで、昭子さんは鳥など生き物が好き。そのため、思い思いに魅力の感じるものを探しに行き、一緒に撮ることはほとんどないという。「せっかく一緒に遠くに行っても今どこにいるの?と、お互い携帯電話でのやりとりです。でも楽しいんですよ」。また、毎年テーマをもってやることを心掛けているとも話す。
 自らを凝り性で中途半端ができない性分という勲さんは、独学だけではいけないと、通信教育でカメラの講座も受け、インストラクターの資格も取得した。時代の技術革新に追いつかなくてはいけないという思いもあって、デジタルカメラやパソコンも駆使する。
 デジタルカメラは平成15年に取り組み始め、今はデジカメが9割。撮影の計画からプリントまですべての作業が自分でできるのでより楽しみが増えた。また、出掛けるときの身軽さと、コストランニングを考えると、デジカメに軍配が上がる。ただ、フイルムカメラの良さも捨て切れない。「カメラの進化を見てると面白いですよ。まだまだ勉強しないといけないことがある。ああ、もうちょっと早く始めてたらな…と思うこともある」。
 プリントにもこだわり、数年前から手漉(す)きの伊勢和紙に印刷し、情緒を持たせている。今回は、和紙に印刷した作品が8点、鏡面光沢フイルムの作品が8点を出展。紙の違いによる対比の面白みも感じてもらいたいという。テーマは「水のある風景の秋と冬」。今回の作品の中で、勲さんのお気に入りは「秋の終章」(奈良・鳥見山)。昭子さんは「あづり浜夕照」(志摩)。「見ていただいた人からの批判を聞いて、より良い作品作りに取り組みたい」と話す。
 勲さんは、「三重県の生涯学習のインストラクターの会への参加を求められて、これを生涯学習というんだということを認知した。家内と2人の人生が楽しく過ごせて共通の趣味で…生涯学習というと写真はとても良かったと思っている」といい、今は、富貴ケ丘でデジタル写真の勉強会を開いている。
 「やはり写真も健康で健全な家庭を築かないとやり続けられない。これからも、そっちに注意を図っていきながらやっていきたいなと思っています」。

      
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