▼ひと【NO.10】
伊和新聞社賞を受賞 坂口隆さん

■菊は手入れが大切
 例年11月初旬に開催され、すっかり秋の風物詩となった名張菊友会主催の「名張菊花展」は、今年で48回目。この展覧会で今回、伊和新聞社社長賞を受賞したのは、坂口隆さん(75、蔵持町里)。自宅玄関前には、美しい菊が何十鉢も並び、行き交う人の目を引いている。
 坂口さんは、定年退職をした約15年前から菊を育て始めた。「菊をするようになったきっかけというようなものは特にありません。父親がずっとやっていたので、定年と同時に自然に」。菊は、ほぼ毎日手入れが必要なので、勤めながらではできなかった。
 菊は1年生植物。毎年5月の連休に挿し芽をして、見ごろになるまで約6か月。「長梅雨もあれば空梅雨もあり、暑い夏もあれば、涼しい夏もある。その年その年の天候に合わせないといけないし、美しくするには本当に難しい。しかし、そこがいい」と菊を育てる魅力について語る。
 現在、坂口さんは、菊友会の事務局担当。同会会員は25人で、全員が60歳以上。同会では、年間行事として講師を呼び講習会を開くなどの活動も行っている。「会に入っていると、情報交換ができていいんです。でも、だんだん人が少なくなってきて、高齢化している。菊作りも体力が必要で、やはり若いといろんなことができるが、年いって体が動かなくなると思うようにいかない」とこぼす。
 「実は昨年、家内が亡くなりました。鉢の植え替えだけでなく、いろいろとよく手伝ってくれたが、今は独り。菊は手がかかるし独りになると大変さが身に染みます」と寂しさがにじむが、同じ趣味の友人がいることは励みになるという。「蔵持町里の中で、菊友会に3人も入ってくれています」。
 坂口さんは、主に大菊を手掛けていて、個人的には菊花のまわりの走り弁(丸くなった花の一番下から地面に向かって八方に出ている弁)が美しく出ているのが好きという。この大菊の「福助づくり」や「ダルマづくり」などで以前、知事賞や県会議長賞も受賞したこともある。今回受賞した菊は、約70鉢の中からバランスが良くて光沢がいいものを厳選した。
  将来の目標として、「千輪咲き」(半球形になるように花を並べて咲かせる仕立て方)という大作を1度やってみたいと意欲的だ。

        
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