▼ひと【NO.2】
青蓮寺ぶどう組合長  雪岡礼三さん

■リピーター増やしたい
今年1月、青蓮寺湖ぶどう組合組合長に就任したのは、名張市青蓮寺に自宅を持つ雪岡礼三さん(68)。サラリーマンとして大阪まで勤めに行っていたときは、ぶどう作りと兼業だったが、定年退職後に専業になったという。
雪岡さんのぶどう園で作っている品種は、デラウエア、巨峰、伊賀乙女。ぶどう栽培は、機械化されている部分が少なく、手作業が多い。例えば、種なし処理。「デラウエアのような種のないぶどうは、全部ジベレリン処理をしているんです。これは、ジベレリンという薬液をカップに入れて、そのカップにぶどうの房一つひとつを浸ける。すると、どんなぶどうでも種なしができるんです。しかし、これがかなり手間のかかる作業。また、作業する姿勢がきついんです。でも、時期があるので、その季節のその時にやってしまわなくてはならないんです」と。
仕事は、奥さんのあや子さんとの二人三脚。「息子もたまに手伝いに来てくれますが、主に2人でやっています。種なし処理と袋かけは、肩にきて、1番辛いですね。2人共しばらく、肩があがらなくなったりします。でも、その作業もいっときのことですから」。美味で、房が大きく、良いぶどうができたときには達成感は、何よりうれしい。
ぶどうは、昼が暑くて夜が寒いと良い。青蓮寺の今年のぶどうは、春先が低温で成長が遅れたが、6月下旬から7月初旬の暑さで取り戻した…ように見えた。しかしまた、7月下旬の低温で思うように成長が進んでいなかった。が、最近の暑さと、予想されるお盆期間中の暑さは期待できて、これからが勝負だ。
今年のぶどう狩りの来場者は現在まで、3000人弱。比較的、鈴鹿や四日市、津方面の来園者が多い。「今年は、あの東北大震災があったので、津波への警戒感から、海よりも山へ行楽を求める人が多いとみています。たくさん来てくれることを期待しているのですが、残念ながら、今のところ例年通りぐらいで、そんなに増えていません」。
来園者には、樹上で熟した完熟ぶどうを提供。「スーパーや八百屋で買うより、ずっと甘くておいしいものを採ってもらっています。来てくれた人には、その味を知ってもらいたい。そして、リピーターとして次の年も、その次の年も来てもらえたら…と思っています」と雪岡さん。
同ぶどう組合員は現在20人。30歳代から80歳代までと年齢層は幅広い。勉強家が多く、組合の中ではセクションに分かれ、会合を開き、ぶどうの研究を重ねている。「若い世代の人たちは、さまざまな方法で栽培方法を学習してきます。一方、高齢の人たちは、それぞれ自分たちの経験から得た栽培方法を持っています。今、それらをうまく融合できるように頑張っています」。
今後は、後継者問題、予想されるぶどう園、猿や鹿の被害などもあるが、組合長として現在の1番の目標は、「青蓮寺のぶどうとして、どのぶどう園もおいしいという均一的なぶどう作りを目指したい」と話していた。

   
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