▼ひと【NO.2】
名張市教育委員会委員長 福田みゆき氏

■子育てには家庭教育の再認識を
昨年12月、名張市教育委員会の新委員長に就任した福田みゆきさんは、昭和35年、大阪で生まれた。現在は、梅が丘で夫と2人暮らし。長男は昨年結婚し、次男は九州在住という。名張市には平成3年の春に引っ越してきた。普段は店で勤務。朝の店出しのリーダーや管理業務を行っている“働き者”だが、現在まで、教育に関する役職を歴任してきた。そんな福田さんに教育や子育てなど、さまざまな話を聞いた。
- --1番印象に残っている仕事は。
 市のPTA連合会の会長ですね。その当時、女性で会長というのはまだ2人目ということでした。
そして、その時、付帯職として、男女共同参画事業に参加しました。P連では給食事業の民営化、特認校の見直しなどが順次重なり、その時が1番色んな仕事をさせてもらったなという印象ですね。
ちょうど「市の審議会などにもっと女性の声を」という声があがってきた頃でした。
---さまざまな役職をやってきた中で、自分自身の考え方が変わったということはありますか。
 大阪から引っ越してきて、まだ名張の人間になりきっていないというところがあったかな、という感じだったのですが、市のことにいろいろかかることにより、名張の人間になったと思います。それまでは、大阪に「帰る」という感覚だったところが、大阪に「行く」というふうに変わってきて、子育ても見方が変わってきました。
---子育てにおいて名張と大阪との違い。
 自分は、大阪市内で育ったので、自然と親しみながら、ゆとりを持って子供を自然の中で育てることは全くなかったように思います。先ざきの進路のことばかり考えていたようです。でも名張で、この今の環境を楽しみながら子育てをしていくということが、子どもたちには大事だなと思うようになりました。都会に出て行くということは、大きくなったら子どもたちが自分たちでどんどんできることだから。
---名張の教育の中で1番大きなテーマは。
 全国的にも家庭の教育力の低下がいわれています。が、名張でも同じで、子どもだけでなく保護者の教育も必要だと思います。他人まかせになっているところがあるというか、なんでもかんでも、やってもらって当然と思っている保護者の方も多いと聞きます。そうではなくて、学校と保護者と協力しながら子育てをしていかないといけないという認識を持ってもらわないといけない。
また、学校の先生も、多分、子どもの頃からよくできた人が、先生になっているという人が多いと思うので、やっぱり少し問題のある子のことも理解していただいて、保護者の方と連携を取りながら、一緒に子育てをしていくことが大事だと思います。
---しかし、現状は違うように思いますが。
 学校の先生方に時間がなさ過ぎる。その部分で総合教育センターができることで、負担が減らすことができると思うし、そうでなければセンターができる意味がないと思うんです。それで空いた時間で子どもと直接しっかり向き合ってもらえればなと思いますね。
---校区再編は。
 1番最初の特認校の話が出た時の私の思いは、3校(滝の原小、国津小、長瀬小)の中で、長瀬が1番自然があると思っていたので、長瀬だけでも一つ残して…という思いがあったのですが、結局、長瀬さんが手を挙げてくれるという形になって、現在に至っています。
しかし、公教育というからには、市内どこに行っても同じ教育を受けられるというような形を進めていかなくてはいけないと思うんです。国津小学校で何度か授業も見せてもらいましたが、複式学級では、例えば、まず4年生に自習をさせておいて、その間に3年生を教える。そして、次は3年生に自習をさせて、その間に4年生を教えるといった形で、結局、半分は自習なんですね。確かに子どもたちの自主性は養えるかもしれませんが、細かい部分の見落としであったり、行き届かない部分が出てくると思うんです。
 また、大規模な学校ならば小人数グループを体験することはできますが、小規模の学校で大人数を体験することはできないということを考えると、大規模な学校の方が体験できることが多いのかなとも思います。
---特認校について聞かせて下さい。
 私の感想ですが、特認校が学校になかなか馴染めない子の受け皿という意味合いが大きくなってきていて、最初の特認校の目的とは少しずれてきているんじゃないかと思うんです。
これらをよく考えて、みなさんに納得していただけるように受け入れ態勢を整えて、療育センターも同時に進めていくことが大切だと思います。
---センターの目標は。
 センターでは、いずれは地域の学校へ帰っていただくというところが最終的な目標。いろいろあるでしょうけれども、地域にお友達がたくさんいて、近所の人と顔見知りになって「いってらっしゃい」「おかえり」といってもらえる環境で子どもは育っていかなあかんのかなと思うんですね。子どもが元気に学校に行って、楽しかったと言って帰ってきてくれることが、親の1番の願いだと思うんです。
---任期は1年間ですが抱負を。
 校区再編も、いつまでも足踏みをしていても仕方ないので、みなさんにご理解を得ながら、「杓子(しゃくし)定規に」ではなく、進めていかなくてはならないと思っています。そして、センター構想を具体化すること。
  それと、昨年の東日本の大震災を受けて、震災、防災を学んでもらうことですね。
  今までとは少し違った視点を持ってやっていこうと思っています。よろしくお願いいたします。

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