▼ひと【NO.3】
名張市美術作家協会会長 大畠洋さん

■良い絵描き20年
名張市美術作家協会が20周年を迎え、4日までイオン名張店リバーナホールで「名張市美術作家協会設立20周年記念展」を開催している。
同会は、伊賀近郊在住、在勤の美術絵画作家による会。「良い絵を描く集団としての発展」と、「地域社会において、美術作品を通じて暮らしの情操を高め、豊かで充実した福祉社会の形成すること」を念願して、平成5年に設立された。現在、会員は19人。
同会会長は洋画家の大畠洋さん(百合が丘東)。石川県出身。金沢美術工芸大学で油絵を学び、卒業後は、神奈川県で中学校教諭、その後、奈良県で小学校の教諭をしていたが、退職。20年数前、百合が丘にアトリエ付きの洋風一戸建を購入した。「アトリエがメーンで百合が丘に来たのですが、会が20周年、娘も20歳になりました。それに、百合が丘小学校も20周年を迎えたと聞いて、感慨深いものがあります」。
入会は、絵画を通した友人がほしかったからという理由。「外から来て、誰も友人がいなかったので、絵画サークルを探していた時にたまたま。会の中では20年の間に、いろいろな人が入ったり出たり…と紆余曲折がありましたが、よく続いていると思いっています」と振り返る。
会長を務めてもう5年。仲間とともに活動することで、名張に美術的な文化を広めたいという思いがある。「名張は体育系の施設として運動公園や武道場があり、音楽系ではADSホールがある。でも、美術となると美術館はなくて、せいぜい公民館。美術館がほしい。文化レベルを上げたい。しかし、今までの活動から、僕らは立場が狭いと感じています。暇をもてあまして絵を描いているように思われることが多いのは、とても残念です。何にしても声をあげるには個人では力がない。団体でやらないと」。
しかし、同会は高齢化が進んでいて、「19人のメンバーのうち60歳以上が15人。80歳に手が届く方もいる。いま懸念しているのは、会が勝手になくなってしまうこと」と話す。「ここからが頑張りどころ」とも。「あと何年続けられるかわからないけれど、作家協会の核を作って地域を高めて、名張の人たちに絵画に愛着を持ってもらうことが大事。若い人たちにも頑張ってもらいたい」と、若い世代の作家の活躍を熱望する。また、最近の伊賀地域の美術部高校生の頑張りにも期待を持っている。
「油絵は日本の風土に合わないのか、全国的にもなかなか売れない」とこぼす大畠さん。が、50年あまり描き続けている中で、人物画を描くことが一番楽しいという。人間には、花や風景とは違って動きがあり、奥行きが感じられるところが魅力だ。「腕ひとつ見ても、いろんな表情が出て、表現方法もさまざま。そういうところが、ものすごく面白い」。写真を見ながら描くことはほとんどない。やはり実物を目にすることで、実感が跳ね返ってくる。「人間の目はよくできていて、自分の目で見ると、360度全部が見えて、広がりがつかめるけれど、写真だと平面になってしまう。それに、第三者的に描きながら、この人はどんな人かなあ…ということを想像しながら描いているうちに、感情がもろに伝わってくるとなんともいえない」と。
今回の記念展では、油絵、日本画、水彩画、アクリル画、フレスコ画など、同会作家全員の作品が展示されている。「さまざまな分野の作家たちの60号から100号の大作が直に見れる。買い物のついでにでも、たくさんの方に見に来てもらいたい」。

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