▼ひと【NO.5】
名張交通安全協会会長 野中敬子さん

■目的は事故をなくすこと
新年度に入り、ショッキングな交通事故のニュースが飛び交っている。交通事故防止に向け広報、啓発活動や道路交通安全を推進するための活動を続けている(財)交通安全協会の会長は、野中敬子さん(桔梗が丘2)。三重県の交通安全協会の中では唯一、また、名張地区では初めての女性会長。
同協会事務局長の園浦肇さんは、野中さんを「名張でも重鎮の女性で、今まで培ってきた人脈が豊富だから、他に働きかけてもらえるような影響力があるところが良い」と評価。
野中さんがこの活動を始めたのは、子どもが小学生の頃で、30歳代後半だった。先輩に誘われたことがきっかけだが、気が付けば、もう30数年。以前は、お花を教えたりもしたが、結局、煮詰まったところが交通安全の啓発活動。
毎月、11日の街頭指導強化日は、桔梗が丘駅前の街頭指導に当たる。そこで出会う子どもたちとのやりとりが楽しいという。「始めはあいさつもしないような子でも、何度も顔をあわせて声かけをするうちに、感謝の言葉を言ってくれるようになるのが本当にうれしい。自分の子どものように、かわいいなあと思います」。
また、自身が70歳を超えたことから、経験が説得力になる。高齢者に対する交通安全指導に出向いた時には「私もそうだからあなたも…」と話す言葉は重い。
近年、子どもが巻き込まれる事故や飲酒運転ドライバーによる事故などは減少傾向だが、高齢者が絡む事故は増加傾向にある。そんな中、同協会には、毎月2、3回のペースで市内各所から高齢者交通安全の講話やビデオ上映の要望がある。
しかし、「高齢の方は頑固な方が多くて、なかなか指導の効果が現れない」とこぼす。事故に遭わないためには「暗がりを黒っぽい服装で歩かない」「少し遠くても横断歩道を渡る」ことなど。実際に起こった事故でも大半は、自分の意識を変えれば簡単に防げたはずだという。
このため、同協会では、高齢者交通安全教室の時に反射材のついた「たすき」などをプレゼント。しかし、実際に使用する人はごくわずかだそう。
たすきは、全面が黄色の蛍光色。その内側に反射材が施されているもので、車のライトにキラキラと反射する。夜間の歩行には、確実に効果があるが「せっかくのたすきでも、付けてもらえないことにはなんとも…とても効果があるものですが」(園浦さん)。野中さんは「高齢者になってからの指導というよりは、子どもの時からの教育で一人ひとりがしっかり交通安全を身につけることが大切」だと思うようになった。
月、5月は小中学校での交通安全指導が多い。連絡があれば、どこでも行く態勢が整っており、事務局では、「10人程度集まっていただいたら、10分でも30分でも、いい時間でできますので、ぜひ連絡いただきたい」と話す。
「会長として、これでよかったのかなと反省することばかりですが、私たちの目的は、事故を少しでも少なくすること。この活動は続けていかなくてはならないと思っています」と野中さん、ますます精力的だ。
運転者が同協会に加入するには、自動車・自動二輪車免許証の発行や更新時に年会費500円を支払うというシステムとなっている。これは任意加入のため。現在、名張市には、約6万3千人の運転免許証保持者がいて、そのうちの約4割にあたる約2万5千人が同協会会員。その中で、ボランティアで啓発活動に参加している会員は300人近くいる。同協会は、電話、ファックス63局1705。

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