▼ひと【NO.2】
近大高専第7代校長 村田圭治さん

■文武両道をモットーに、地域貢献にも協力
先月、近畿大学工業高等専門学校(名張市春日丘)の第7代校長に就任した村田圭治校長は、昭和30年生まれの58歳。津市出身。那智勝浦に妻子を残して名張に単身赴任中だ。「おかげで料理はずいぶん上手くなったと思います」と笑顔。もともと体を動かすことが好き。就任して以来、休暇らしい休暇はあまりないが、時間を見つけてランニングやウエイトトレーニングも楽しみ、充実した毎日を過ごしている近大高専の新校長に話を伺った。
昭和55年、東京工業大学大学院総合理工学研究科エネルギー科学専攻修士課程を修了してから22年間、東京芝浦電気株式会社(現、株式会社東芝)でエネルギーや環境機器の研究開発に携わった。そして平成14年、教職に従事したいという思いを叶(かな)えて、同校の教授に。同校では、機械系の学生を対象に熱工学技術を教えてきた。
神野前校長が築いてきた学校運営システムを引き継ぎ、「教育活動、研究活動の健全化」と「安定的、継続的な学生数の確保」を抱負にあげている。この2つは一見異なった理念に見えるが、「学生たちの満足度をあげることによって、2つとも解決する」と考えている。
そして就任以来、学生や保護者の要望をすい上げ、出来る限り迅速に対応するよう心掛けている。前校長の時代から目安箱や、校長に直接メールで訴えるシステムに加えて、学生部や担任、部活動の顧問などが積極的に「声」を拾うことが大事だと再確認し、「みんなの声が届き易い環境をつくりたい」と話した。
先日、学生部の教員が外で昼食をとっている女子学生を見かけて声をかけてみた。すると、「食堂が混んでいるから外で食べている」との返答だった。同校は男子生徒が圧倒的に多いので、中では食べにくかったのだろう…と想像できた。そこで、女子学生が片身の狭い思いをしているのであれば、今は電車でも女子専用車両がある時代。食堂に女子専用コーナーを設けた。
さらにハラスメント防止委員会も設置。相談窓口の教員を決めてホームページなどで公開した。「幸い、学生からの相談はまだ何もきていません」と笑う。これらの改革で、学生たちの手厚いケアを大切にしている。
また、同校は文武両道がモットー。体育系のクラブも盛んだが、文化系のクラブでは、ロボット技術部からロボットコンテスト、プログラミング技術部ではプログラムコンテストなど、高専特有のコンテストに参加が可能だ。村田校長は、「学生がやりたいと思えば、おもいきり打ち込める環境を整えているのが自慢」と話し、その結果、就職や進学希望者全員、毎年、現役で進路先を決めている。
しかし、今年度は残念ながら、入学者が定員を割ってしまった。
就職や大学進学を間近に感じる4、5年生になると、「高専に来てよかった」と満足度が高くなるというが、村田校長は、「課題は、1年生から3年生の満足度を上げることが重要だ」と分析する。「地元からの学生もまだまだ少ない状況です。工業系とはいえ、女子もぜひたくさん来てほしいと思っています」。
他方、地域貢献として、今年度も市民公開講座を開催。こちらも商工会議所会頭、名張市の調整官、前校長、学外のメンバーなどで企画委員会を立ち上げて、年間7回を予定している。
第1回は、24日(土)「エネルギーの物語〜おにぎりから地球環境まで〜」と題して、吉田英生京都大学大学院工学研究科教授の講座が開かれる。受講料は無料で、当日参加可能。
最後に「就任して1か月以上経って、教職員の方々の助けなしでは前に進めないことを実感しています」と語り「前校長が築いてきた特徴ある高専教育を引き継ぎ、みんなで協力して、全学生たちの満足度を上げるように努めていきます」と力強い意気込みを示した。

   
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