▼ひと【NO.2】
農林水産大臣から表彰 橋本良民さん

■早寝、早起き、朝ご飯
これまで名張市の農業委員で農林水産大臣表彰を受けた市民は故市原源太郎(平尾)、堀江順一(美旗新田)さんの2人。そして今回、受賞した橋本良民さんは、3人目の名誉となる。
橋本良民さんは下比奈知の素封家・橋本御三家の西側の家の主。3男として生まれ、しばらくの間、実家を離れ独立していたが、長兄・秀信さんに子どもがなかったことから、長兄と養子縁組。現在、長兄は物故し、橋本さんが本家を相続している。
大阪工業大学の土木科を卒業。大和高田市役所に就職、主として土木行政、水道事業に関与してきた。生活環境部長を終え、60歳で定年退職。2年間、傍系の団体に嘱託として勤めた後、農業に専念。
下比奈地区の役員(書記)を3期務め、伊賀南部農協の理事も2期在任した。途中、農業委員の改選があり、区長から推薦を受け立候補し、当選。
田圃(たんぼ)は自作で約1町歩、下比奈知では大百姓になる。橋本さんは、農業委員として、さらに個人としても取り組んだのが、耕作放棄地の解消。「小規模農家や山間部で不便な耕作地は耕作放棄され、野生動物のすみかになっている。食糧事情がよく、農業よりも他の産業の方が所得が多い現状では止むを得ないが、日本の食料自給率は40lで、海外への依存度が高い。パン食、肉食、揚げ物が多く、原料は海外へ依存している。政治的、経済的、あるいは天災などにより、食糧の輸入ができない場合もある。食料の安全保障を考えれば、国内の食料自給率をもっと上げる必要がある」と力説。
「米作りは無理でも豆や雑穀は可能だ。私は休耕田を小学校の社会科学習用に提供している。豆、いもから米まで、学年に応じて作物の種類を変えている。そして、食料の大切さも講義している。『早寝、早起き、朝ご飯』を父母にも呼びかけている」と。
昭和10年生まれの80歳。定年後の人生を公のために奉仕した努力が認められた。

   
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