■瀬戸と伊賀の融合を
伊賀市音羽に「伊賀うへい窯」を開設する陶芸家、岡崎隆彌さんが1日から7日まで同市槇山の上田誠克記念館ギャラリー30で作陶展を開いた。愛知県の瀬戸市から移り住んで18年になるが、作品は東京や大阪で披露することが多く、伊賀地域では初の本格的な個展となった。
岡崎さんは71歳。瀬戸物の語源にもなった窯業のまち、瀬戸に生まれ、窯業の訓練学校で基本を学んだ。まだ修行中だった30歳のとき穴窯を開き、のち陶芸家として独立。大阪と愛知の中間に新天地を求めて平成8年、伊賀に居住することを決め、新たに窯を開設した。
創作する土地は変わっても、穴窯で独自の世界を追求する姿勢には変わりがない。「瀬戸焼と伊賀焼の双方の魅力を融合させた境地を楽しんでいただければ」と会場には約100点を展示。伝統的な様式を重んじる茶器、モダンな感覚を生かした食器、想像力を駆使したオブジェなど多彩な表現が紹介された。
ギャラリー30は奈良県から名張市つつじが丘に転居した版画家の故・上田誠克さんが平成元年、自宅2階にオープン。自作のほか市内の画家、陶芸家、写真家らにも開放していたが、本格的な画廊を求めて同9年、現在地へ移転。18年に上田さんが80歳で死去したあとは、妻の郁子さんが切り盛りしていた。
平成23年にはメモリアルミュージアムの上田誠克記念館ギャラリー30にリニューアルし、上田さんの遺作を紹介してきたが、今回の作陶展は岡崎さんが「地元デビューの場に」と以前から交流があった郁子さんに依頼して実現した。
岡崎さんの伊賀うへい窯は伊賀まちかど博物館として運営されており、開館は午前9時から午後5時(予約が必要)。電話は44局1500。
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