▼ひと【NO.3】
名張市社会福祉協議会会長 奥村和子さん

■「広告塔」で頑張る
「社協の会長という職を与えていただいたのも何かのご縁。市役所での経験や人脈は、社協で福祉のまちづくりを推進していくうえで心強い」
6月1日、社会福祉法人名張市社会福祉協議会の会長に任命された奥村和子さんは今年3月、42年間勤めてきた市役所を定年退職。在職中は、平成15年から約5年間、障害者支援室に勤務した。さらに22年からも障害者福祉を担当し、通算7年は障害者福祉の仕事に携わった。退職までの4年間は地域部長を務め、各地域のまちづくりに携わり、住民との接点もでき、心強い限りだ。
育児休暇がなかった時代、両親らの助けで、子育てと仕事を両立した経験を持つ。「その両親も既に他界しましたが、介護休暇を取ったり、預かってもらったり、いろんな制度を利用しつつ、42年間勤め上げることができました」と振り返った。
名張市社協は、誰もが住み慣れたまちで安心して自分らしく暮らせる福祉のまちづくりが基本理念だ。「地域や暮らしを見つめる社協・地域に息づいた社協」をキーワードにして、地域福祉活動を展開する。
これらの活動は、多くのボランティアに支えられている。中でも、高齢者を支援するボランティアは多い。デイサービスや配食サービスなどの活動は生きがいを感じるかたわら、支援する老人からも喜びの声を聞く。今後は安心して子どもを産み、育てられるまちを目指し、子どもたちを支えるボランティアの育成にも力を入れるつもりだ。特に、最近立ち上がった「子ども食堂」に注目している。
子ども食堂は、経済的な理由で十分な食事が取れない、両親が共働きの家庭など、家の都合で独りで食事をする子どものために、無料で栄養バランスの摂れた温かい食事を提供する活動だ。「継続できるような仕組みづくりをサポートしたい。子どもたちが温かい食事を摂ることで、ぬくもりを感じてくれたら……」。
また、「そこが学習支援の場所になり、子どもだけでなく、親にとっても支え合える場所になれば活動が活発になり、名張に移住する人が増えると考える」。社協の役割は、仕組みづくりや、人と人をつないでネットワークを作ることだと考える。
名張は、まちづくりの基盤が充実しているといわれる。15地域それぞれにまちづくりの組織ができあがり、高齢者の福祉や子どもの支援も組める環境にあるだけに「何かあったとき、社協があってよかったと、みなさんに思っていただけるような活動をしていきたい」と話す。
一般の家庭や企業から収められた会費と寄付金などを基に活動しているのが社協だ。「日ごろ、社協の存在を知らない方も多いと思いますが、みなさんの会費に支えられています。それをボランティアの補助金や助成金、地域の福祉活動などに使っています」と感謝の念は忘れない。「温かいお気持ちはこんなことに生かされています。だからまたよろしくお願いしますと、PRしていきたい。会長は広告塔だと思いがんばります」。
働くスタッフへの心配りも人一倍強い。「福祉に携わる職員が幸せでないと、幸せはお届けできない。職員が生きがいをもって仕事ができる職場にしていきたい」。手腕に期待はふくらむ。

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