▼ひと【NO.4】
藤堂高虎の実績を紹介 福井健二さん

■築城名手を大河ドラマに
前伊賀文化産業協会専務理事で城代家老と別名を持つ福井健二さん(79)が出版した藤堂高虎に関係した著書「築城名手 藤堂高虎」が静かなブームを呼んでいる。豊臣秀吉の弟・豊臣秀長の家臣だった高虎は、秀長の失脚後、徳川家康に仕えた戦国から江戸時代にかけて活躍した武将。地元からは「城づくりの名人で、多くの城の計画、監督に携わった高虎をもっと知ってもらいたい。そしてNHK大河ドラマに」と期待が膨らんでいる。
藤堂高虎は津城、上野城はむろん、丹波篠山城、大坂の陣で落城した大阪城の修復にもかかわっている。本書では、高虎の城づくりや家康の側近としての高虎の功績と家康への忠誠について詳しく紹介している。
高虎の生涯をまとめた本は、史書「公室年譜」や「高山公実録」「宗国史」を参考にした。A5判で210ページ。高虎が着用した具足や上野城の石垣などはカラー刷りで紹介している。
福井さんによると、大阪城は、元和元年に落城後、元和6年に2代将軍徳川秀忠が再建。高虎が計画し、秀吉の城の基礎の上にさらに盛り土を行い、石垣を積み、天守閣を再建したが、落雷で焼失、昭和になって大阪市が天守閣を建てたという。
高虎は一介の武士から32万5千石の大大名になった武将だが、NHKの大河ドラマの主人公にはなっていない。一介の武士から大名になった山内一豊はすでに登場している。
津藤堂家、上野藤堂家の旧藤堂藩家臣の末裔(まつえい)や郷土史に関心ある人たちで構成している五日会では、藤堂高虎の大河ドラマを作るよう地元国会議員がNHKに働きかけ、10万人の署名簿を提出するなど、推せん活動を行っているが、まだ実現の見通しはない。理由は「高虎に関する著書がない」、「女性を巡るロマンがない」といわれている。
これまで高虎の業績を紹介した著書も発刊されている。上野城、津城はもちろん丹波篠山城、京都の二条城の築城にかかわった高虎の業績は、徐々に周知され始めた。「NHK大河ドラマへの期待もふくらむ」という。
福井健二さんによると「高虎は誠実でまじめな性格。天海和尚とともに家康の側近だった。家康は天台宗の上野寛永寺を菩提寺とし、天台宗に帰依した。高虎は『私も天台宗に帰依します。来世でもお供します』と述べ家康を感動させた」と説明した。

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