▼ひと【NO.7】
「とまとの丘」 北島芙有子さん

■就農で名張市に移住
トマト栽培を目的に東大阪市から名張市に引っ越してきた北島芙有子(ふうこ)さん(24、梅が丘南2番町)が26日、市役所を訪れ、本格的な収穫を始めたことを亀井利克市長に報告、丹精込めて育てたトマトをプレゼントした。
北島さんは東大阪市で生まれ、近畿大学農学部で遺伝子組み換えなどを研究していたが、2年生の夏休みに1か月、岡山県高梁市にある農園でトマト収穫のアルバイトを体験。トマト栽培の面白さを知り、進路に定めた。高梁市では大規模な農園での作業だったが、自分の工夫や好みを生かせる規模のトマト栽培を希望。梅が丘に住む祖父母に夢を打ち明けたところ、短野のトマト農家、井上孝雄さん(70)の存在を教えられた。
北島さんは井上さんを訪ね、指導を依頼。井上さんの快諾を得て、一昨年11月に名張市へ転入した。大学も中退し、昨年1年間、井上さんのハウスで研修。青年就農育成のための県の補助金も活用し、トマト栽培の基本をしっかり身につけた北島さんは、今年3月に1人で本格的なトマトづくりを始めた。
現在、5アールのハウスで1200本の苗木を栽培。品種は果肉がぎっしり詰まった「みそら」で、肥料の使用法などでもさまざまな試みを重ね、味もうまみも濃厚なトマトを追求している。
収穫したトマトは5月から、市内のマックスバリュやとれたてなばり交流館などの地場産市場に出荷。「とまとの丘」の産品として袋販売している。梅が丘、桔梗が丘、百合が丘を軽トラックで回り、直接販売もつづけているが、購入者から「おいしかった」などと声をかけられることが励みになるという。
北島さんは「若い人に農業がしたいと思ってもらえるように、私自身がトマト栽培で成功して、若い人たちと農業を盛り上げたい」と夢を語り、以前から遊びに来ていた名張市については「自然が豊かで、かといって田舎すぎず、さまざまないい農産物が手に入る。人との距離が近いところで農業ができることがうれしい」と話している。
亀井市長は「よく身が詰まった昔懐かしい味のトマトで、とてもおいしかった。若い世代が名張の良さを知り、都市部から移住してくれるのはとてもありがたい」と目を細めていた。

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