▼ひと【NO.1】
年男 大橋健作さん

■独自の手法で県展入選
昨年、83歳で初めてみえ県展洋画部門で入選を果たした大橋さん。思いがけない入選で喜びもひとしおだった。
大橋さんは、津市美杉町出身。松阪工業高校を卒業後、大阪の化学工業薬品製造に勤務。しばらくは大阪に住んでいたが、昭和44年、桔梗が丘に自宅を購入し、移住した。
絵画を始めたのは定年退職後の平成11年。たっぷりある時間を楽しむために何かしようと、桔梗が丘市民センターで絵画と書道を習い始めたのがきっかけ。
中学校、高校も絵を描くような教科はなく、本格的に描くのは小学校以来だった。「まあ、ちょっとやってみようかなというような軽い気持ちで始めた。しかし、あれからもう18年間描き続けています」と振り返る。
2年前、名張市美術作家協会に入会。昨年は、友人の勧めでみえ県展に出展したところ、現代的でポップな作風が評価され、見事入選した。
大橋さんの作品の特徴は、フエルトペンとものさしを使って直線を引く方法。制作はオリジナリティーに富む。この方法で描いている人はほかにいない。基本的に他人のやっていないことをやりたいという思いがある。
以前は花を描くこともあったが、ここ最近は、主に風景画を描く。1つの作品を仕上げるには、半月から3か月はかかる。転換期は昨年。がらっと作風を変え、夜景を描くことが多くなった。「一見冷たい都会の夜景を美しく、そしてあたたかく描きたいと思っている」と話す。
自分が満足いく作品ができあがったときが至福の時間。それが絵を描くことの魅力だ、「見る人に楽しんでもらえるような絵を描きたいと思っている」。
公民館の教室では、先生から個性を大事に伸ばす指導を受ける。「自分の思うように描いていけますし、教室に来ているみなさんそれぞれに上手で個性的な作品を描かれます。刺激があって楽しいですね」と長く続いている理由を分析。
熱中しやすい性格。平成22年に舌癌(ぜつがん)の手術を受けて以来「何事によらず、ほどほどに」をモットーに健康に気をつけた生活を送る。ステージ4だったという大橋さんだが「やりたいことがあって、生きたいという気持ちが強かったです」と前向きだ。今まで3度手術を繰り返してきたが、昨年の検診でも異常はなし。ほっとしている。

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