▼ひと【NO.9】
キミノミカタ代表 後藤ひろみさん

■共有しよう安心感
「発達障害」。生まれつき脳機能の発達の偏(かたより)による障害で、自閉的傾向のある子どもに見られる症状だ。言葉や生活、運動・動作にも弊害がみられ、その子を持つ親にとっては悩みが多い病気だといえる。子どもたちと保護者が穏やかに生活できることを願い、今月18日、伊賀市島ヶ原でペルー発祥の打楽器カホンを使った初の体験療法を開催する。「いがぶら」イベントの一環で、子育てを応援する有志団体「キミノミカタ」が主催する。
「キミノミカタ」の代表を務める後藤ひろみさん(蔵持町原出、46)は、九州出身。結婚後、名張へ。そこで、授かった長女は3万人に1人といわれる指定難病とわかった。右脳の萎縮もあり「いっぱい泣きました」。その後、長女の障害を通し、施設や行政とかかわる機会が増えた。
現在、長女は小学2年、次女は小学1年生。成長までは苦労の連続だった。いまでは後藤さん親子への理解者も増え「最近やっと心身ともに少し楽になった」と笑顔で話す。
後藤さんの以前の仕事は看護師。職業柄、「私のことを口コミで知って、我が子を心配するお母さんから相談されることが多くなってきた」。
発達障害が社会に認知され、理解が深まってきたことで、それを支える支援センターなどは増えてきた。しかし、発達障害という言葉だけで悩む母親は多い。公的機関に相談すると発達障害というレッテルが貼(は)られてしまうのではないかという不安からだ。
口伝えから広がった後藤さんへの相談は後を絶えない。だが、長女のことで東奔西走する日々が続く後藤さんは、体調を崩し、倒れた。寝込んでいる間に長女が額を切る大ケガ。専門家に相談すると、適任者として名が上がったのが、津市の療法士だった。伊賀市で開催される「いがぶら」がきっかけとなり、2人で「子育てを応援する有志団体キミノミカタ」を設立。
メンバーは音楽、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、学校教員、ペアレントトレーナーなど、業種を越えた現職の専門家。全員ボランティアでの参加だ。「心が軽くなってほしい。親子ともに穏やかに楽しく過ごしてほしい」という願いで集まった。母親の不安は子どもに伝わる。母親のケアは重要だという。
「いがぶら」では、療法士の提案でカホンというペルー発祥の箱型打楽器を製作。これを通して、子どもの得意や苦手、また保護者が子育ての困りごとを一緒に考えていく。完成品は必ず音が鳴り、子どもは達成感が得られる。
プログラムは@子どもに療法士や教員が付き添いカホンを製作A親にはペアレントトレーナーが子育てのコツを伝授Bランチをしながら現職専門家と子育て相談C作ったカホンで音楽療法士による演奏会。当日は参加定員8組の親子に13人のスタッフがつく予定。
後藤さんは目的について「障害のあるなしにかかわらず、子育ての悩みはいつの時代もある」と前置きし、「カホン作りは発達障害という言葉は使っていません。保護者と子育ての悩みを一緒に語ることや、専門家から子育てのコツを伝えるのが目的。できたという成功体験をぜひ持ち帰っていただきたい」と説明。また「この思いを知って参加してくれるスタッフ、企業さんも募集しています。今回のイベントは第1回目。次につなげて、母親の気持ちをサポートしていきたい」と力強く語った。
イベントは、11月18日10時から15時まで、穂積製材所ものつくり工房(島ヶ原)で開催。参加料はカホンの材料費と昼食代で5千円。
問い合わせは、キミノミカタのwebサイト HYPERLINK "https://kiminoMi" https://kiminoMiKata17.wixsite.com/kiminomikataまで。

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