▼ひと【NO.9】
公務員1年生・藤田文香さん

■伊賀市職員期待の星
伊賀市では、今年の市職員採用試験(前期日程)が6月12日から25日に実施される。例年かなりの競争率で狭き門である(後期日程は、願書受付7月19日から8月20日、一次試験は9月10日に実施)。
昨年の4、5月はというと「緊急事態宣言」が発令中の状況だった。大学は休校かオンライン授業。4年生は例年とは違った就活に戸惑った。藤田文香さんもその1人である。大学に通えないため、下宿先から伊賀市の実家に戻り、就職か大学院進学か迷っていた。そんな時母親から、「伊賀市職員募集」の話を聞き、母のアドバイスで受験を決めた。願書は、郵送では間に合わないので受付最終日に市役所に直接持参したという。
4月1日、岡本栄伊賀市長の「市民のために誇りをもってがんばってほしい」とのエールを胸に、伊賀市の職員としてスタートを切る。配属先は、産業振興部商工労働課。このコロナ禍で困っている事業者と市を結ぶ仕事。「伊賀市事業継続応援給付金の支給」。事業者支援である。困っている人や企業に寄り添ってと思うが、電話から聞こえる言葉は難解。でも、「分かりません、知りません」では、困っている事業者の力にはなれない。必死に勉強する。でも理解できないこともある。そんな時、「分からない時は相談してね」上司や先輩の声が天使の声に聞こえる。課の新人は彼女一人。「皆に支えていただいている」と課内の雰囲気は最高と笑顔が覗く。将来の夢を尋ねると「コロナが収束したら、忍者や伊賀ブランドなど伊賀をもっとPRする企画運営をやりたい」と未来の伊賀市が彼女の頭に描かれている。
大学のゼミの先生が「公務員は融通が利かず、仕事も非効率的である」とよく話されていた。公務員としては当たり前のことが、企業出身の先生には十分に理解されてなく、そういった発言になったのでは……。今、藤田さんは「公務員として法律や条例遵守は当たり前、何よりも市民のために」ということを常に心に、職務を遂行しているという。
現在2か月が過ぎた。仕事については随分慣れてきているが、緊張の連続で疲れも出るころかと思う。趣味は読書。最近読んだ本は「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治著、新潮新書)今年、就活をしている後輩に贈る言葉は「自分と向き合い、したいことをする」。
明るく、ハキハキと応える藤田さんに、上司の前川博善商工労働課長は「しっかりしているし、よく勉強している。将来が楽しみ」と期待を寄せている。
今年伊賀市職員になった44人が、これからの伊賀市発展のキーパーソンであることは間違いない。それぞれの部署での活躍を期待する。

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