2017年度 バックナンバー
横光利一を忍ぶ

伊賀にゆかりのある小説家・横光利一を顕彰する「雪解(ゆきげ)のつどい」は3月18日、伊賀市下柘植のふるさと会館いがであり、故郷をテーマにした講演会などで横光利一を偲んだ。同つどいは、横光の母校・上野高校の同窓生や愛好家によって毎年3月17日の誕生日前後、上野と柘植の両地域で生誕100年記念事業以降、交互に開催されている。
19回目を迎えた今年のつどいは同市在住のフルート奏者・岩佐絹枝さんが静かに演奏する中、実行委員の田村敏子さんが横光利一の随筆「琵琶湖」を朗読。少年時代に何度か過ごした琵琶湖の風景もスライドで背景に映し出すなど、参加者を横光利一の世界へ誘った。
講演会では、横光利一文学会会員で滋賀大学特任准教授の黒田大河さんが、「横光利一と幻影の〈ふるさと〉」の題で講演。同市の柘植や第三中学校在学中に過ごした横光利一の上野への思いを話した。そして「やはり故郷と言えば柘植の他は浮かんできません」という書簡を紹介した。
同氏によると、横光の青春には、失恋、受験失敗、引きこもり、大学中退などさまざまなことがあったが、伊賀は懐かしい故郷だった。
横光は同郷の松尾芭蕉にも憧れ、若いころに上京するなど、自分を重ね合わせたという。
また、母の死後、故郷について深く考え、たどり着きたい場所として「文学の世界にそれを求め旅をした」など、その生涯に思いを馳(は)せた、横光利一を紹介した。


阿保宿再現・にぎわいみせた催し

 江戸時代、関西方面から伊勢参りに行くルートとして栄えた伊賀市阿保の「阿保宿」で3月5日、にぎわいを再現した初瀬街道まつりが同地区で行われ、多くの人が楽しい一日を過した。
 伊賀市阿保地区住民自治協議会が主催した催しで、街道沿いの青山ホールや商店街には露店が40出店、商売人や地区の有志によりさまざまな品物が売られた。地場産のひの菜やしいたけ入りの巻き寿司は人気に。
 別府区の獅子神楽保存会による獅子舞やてんぐの舞と練り歩き、歌の演奏会が来訪者の関心を引いた。街道沿いの用水路には水車がすえつけられ、当時の風景を演出。
 東海道関宿―伊勢別街道―伊勢などの伊勢本街道ルートと初瀬街道ルートがあった伊勢参りだが、大阪、奈良方面からの旅人は、榛原で伊勢本街道と初瀬街道に分かれた。伊勢本街道の方が距離は近いが、道中の楽しみは名張宿、阿保宿などを通る初瀬街道の方が多かったといわれ、そのにぎわいを再現した。愛知県の三河から来た坂田、青木、西口さんら女性3人組は「この祭りには毎年来ます。伊賀の地酒を味わうのが何よりの楽しみです」と道路端に腰を据え、楽しそうに話していた。


名張産どぶろく

構造改革特別区域のリカーチャレンジ特区に認定されている名張市で、どぶろくを地域の新しい名産品に育てる動きが始まった。市民団体「名張どぶろくを楽しむ会」(内山克則会長)が3月5日、緑が丘東にあるNPO法人「アドレナ」(山下隆子会長)の事務所内に開設した「どぶろくhouse」で醸造を開始。今秋の発売を目指して活動を本格化させた。
同会は平成27年4月、約30人で発足。同年6月に市が特区認定を受け、酒税法で定められた年間製造量に満たない量でも酒類の製造免許を取得できるようになったため、岐阜県の白川八幡神社、熊野市の大森神社など各地のどぶろく祭りや醸造場に足を運んでどぶろくづくりを研究。準備を重ねて今年1月1日付で酒造免許も取得した。
醸造所は同NPOが商店街の空き店舗を転用した事務所内に開設し、看板も掲げた。内山会長が下小波田地内で栽培したコシヒカリのほか、使用する麹(こうじ)や水もすべて地元の良質な素材を厳選。名張独自の名品を目指して試行錯誤が始まった。この日は20人あまりが集合。米3`を蒸して冷まし、容器に入れて発酵させるための仕込みに精を出した。米10`分を何回かに分けて作業を進め、ほぼ1か月後からアルコール濃度や味わいなどを仕上げてゆく。
名張産どぶろくは今秋には完成する予定で、内山会長が経営する「つぐみカフェ」(下小波田)と「agatto(アガット)」(伊賀市上野丸之内、ハイトピア伊賀2階)などで発売される。将来は瓶に入れた商品も開発する予定だが、当面は購入者が容器を持参する量り売りで提供するという。
内山会長は「何年先になるかわかりませんが、会独自でどぶろく祭りを開催するのが目標です。市全体の活性化のため市民のみなさんにも応援してもらえれば」という。同NPOは地域振興を目的に活動しており、山下会長と堀口妃代美副会長は「活動の一環として取り組みました。まだ手探りで作業を進めている状態ですが、どぶろくで名張を元気にできれば」と話している。


子どもたちへ語り伝えよう悲惨な戦争

戦後71年、経済が豊かになった日本だが、今では戦争体験は風化し、国政も国民も平和ボケになり、戦争反対や平和に対する真剣な取り組みは、緩んできたといわれている。そこで、戦中戦後を小学生時代に体験し、実兄が戦死した悲しみを持つなど、戦争の悲惨さを知る江南登美さん(78、桔梗が丘5番町)は2月17日、名張市夏見の勤労者福祉会館で戦争体験、戦争の悲惨さを後世、子供たちに伝えようと、関係者を前に体験談を話した。名賀教組が主催、市教委、市PTA連合会が後援した。元中学校教員で元桔梗が丘小学校長の江南さんは「この話をぜひ子どもたちに伝えてほしい。戦争体験者には残された時間が少なくなった。戦争体験を後世に伝えてほしい」と参加者に訴えた。


伊賀で二紀会春季展

県下で活躍する30代から80代の画家や絵画愛好家でつくる二紀会三重支部の春季展が名張市瀬古口のギャラリー「空」で開催されている。これまでは津市の県立美術館などで開かれていた展示会だが、「伊賀の人にも鑑賞してもらう機会を」と名張で企画された。2月26日まで。
出展は県内で活躍する有名作家や地元名張、青山のなじみの深い作家の作品もあり、関係者は、「伊賀での開催はありがたい。老若男女問わず見に来てほしいものです」と話していた。


「あれっこわい」認定2号にリク君

名張市の「あれっこわい認定」第2号が2月15日、亀井利克市長から名張市美旗中2番の鮫島冨久代さんのトイプードル(雄9歳)「リク」に贈られた。「リク」はバランスボールに乗る「玉乗り」や逆立ち、二足歩行などができる芸達者=B一発芸を持った犬と飼い主が出場する「芸・わん!グランプリ」でもチャンピオンを受賞している。
鮫島さんは名張市の認定制度を知り今年1月31日、自宅のビデオで撮影しながら縄跳びを行い122回の記録を作り、これを申請。市長室で、記者団がカメラを向けると、早速、縄跳びを披露した。


「あれっこわい」認定証・百合小こどもクラブが認定第1号に

節分の日の2月4日、青蓮寺・百合が丘地域づくり協議会の教育文化部会が運営する百合小こどもクラブ(畑行子コーディネーター)が、百合が丘小学校でロング巻きずし作りに挑戦、みごと53.65メートルの新記録を樹立。記録達成を見届けた亀井利克市長は、「あれっこわい認定証(※)」の第1号として賞状を授与した。
同地域づくり協議会では平成24年度から毎年巻きずしの長さを競う催しを開催、第1回は18.55メートル、第2回26.35メートル、第3回35.9メートル、そして第5回43.0メートルと毎年記録を更新し、今年は50メートルを突破、新記録となった。
校内の廊下に1.8メートルの机を約30台並べ、児童と保護者ら約200人がすし作りを展開。のりの上に酢飯を広げ、具材を置き、慎重に巻いて仕上げた。
出来上がると拍手が湧き、長さは53.65メートル、50メートルを突破した。
同地域づくり協議会の教育文化部会は、地域あいさつ運動▽百合小学習支援「ほめほめ隊」▽百合小こどもクラブ▽名張西高・赤目中の吹奏楽合同演奏会とクリスマスフェスタの開催▽百合小こども和太鼓隊などを主宰、支援をしている。

※あれっこわい認定証
=名張市は2月2日、驚くべき成果などを残した人、団体に贈る「あれっこわい認定」制度を設けたと発表した。名張の方言で「あれっこわい」は、驚きと感動を表現する言葉。標準語では「わー、すごい」になる。同制度の創設により、市民や市民活動で人々が「あれっこわい」と驚くような行為や事物への取り組みを促すのが狙い。
認定の対象となるのは、市内在住の個人、法人、団体や市内に通勤通学する市民で、市長に申請書を提出し、認められた場合に交付される。
市では、認定した取り組みの中から最も「あれっこわい」と思う事例を市長が選び、「あれっこわい年間大賞」として表彰する。
亀井利克市長は「多くの皆さんに挑戦していただき、名張の元気を創造するきっかけとなることを期待しています」と話している。


芭蕉の連句「かるた」にして

芭蕉さんの文芸「俳諧(はいかい)」をもっと知ってもらおうと、伊賀市の柘植歴史民俗資料館で「ふたりで百首」歌仙かるた原画展が開かれている。4月9日まで。
伊賀が生んだ俳聖・松尾芭蕉と門人の2人で詠(よ)んだ歌仙2句の100セットがイメージ画と共に解説つきで展示されている。「百人一首」のような原画で、芭蕉に去来(きょらい)付ける「さる引の 猿と世を経(ふ)る秋の月 年に一斗(いっと)の地子はかる也(なり)」や曲水に芭蕉付ける「一貫の 銭(ぜに)むつかしと返しけり 医者のくすりは飲(の)ぬ分別」などカルタにあやかった原画が並んでいる。
現在、俳句とされているのは、俳諧の蓮歌の一句目の「発句」で、芭蕉が生きていた当時の句は、後の連句も含めたものだ。
現代のように最初の発句だけを俳句としたのは正岡子規で、子規らは最初の発句を「現代俳句」としたという。
柘植歴史民俗資料館では、芭蕉が活躍していた当時の連句を絵を描きカルタにして展示。
絵は「翁の里 蕉風俳諧継承・普及会&絵手紙いろは」の皆さんが描いた。
問い合わせは同資料館、電話0595-45-1900まで。


赤目保勝会がツアー参加者募集

寒波がやってくると注目されるのが、名張市の赤目四十八滝の氷瀑。中でも大日滝は有名。平素は露出した岸壁に、わずかな水が流れるだけの滝だが、寒くなると岸壁全体にツララができ、その美しさは格別。さらに、雪が降ると氷瀑のように見える。1月20日は暦の上での大寒。その名の通り、朝夕は氷点下、日中も1ケタの気温。氷瀑ツアーを試みた。
伊賀と大和の国境を流れる滝川上流。その中に瀑布が美しい赤目四十八滝がある。赤目屈指の名瀑、大日滝。場所は渓谷の入り口から570bの右側斜面でその姿をみることができた。
滝らしい滝「不動滝」を過ぎ、平らな河原を行くと右側に大きな沢がある。石や岩ばかりだが、その上100メートルくらいの地点にこの滝がある。ここに行くには、沢を登らなければならない。赤目保勝会が設置したザイルがあり、これを伝ってゆっくり登る。足場の悪い登山道を歩くこと約20分。下を見るとかなり登ったように思うが、滝はまだ見えない。薄雪が積もっているため、滑りやすい。保勝会から貸りたワラの荒縄を靴に巻き付けて滑りを防ぐ。やがて、滝が見えてきたが、道のりはまだ遠い。
やっと近くまでたどり着き、平たん地へ。といっても周辺は石がゴロゴロ。滝に近づき撮影に好都合なポジションでカメラを構える。何枚かをカメラに収めた。
数点カメラに収め、いよいよ帰り。だが、下り坂の方が滑りやすい。登山道は薄雪が踏みつけられ、氷のようになっている。枯れ枝をつえ代わりにしてゆっくり下る。「おっと、滑った。危ない」。河原まで下り、飛び石を渡り対岸の道へ。「最後まで気を付けなければ」と自分を戒めながら登山道へ。
赤目保勝会は2月28日まで大日滝氷瀑ツアーを開催中。午前10時に対泉閣前を出発。参加費はガイドと温泉入浴付きで3000円。滑り止め用のアイゼンを貸し出している。
問い合わせは赤目四十八滝保勝会エコツアーデスク 電話64局2695まで。


松明ひと目で

名張市安部田の名張市郷土資料館で語り継ぐ伊賀一ノ井松明調進行事とお水取りの資料を展示している。2月26日まで。
伊賀一ノ井松明講と春を呼ぶ会の協働企画で、お水取り記録映像や寄進松明、東大寺が発行する午玉宝印札(ごおうほういん)、二月堂観音札、東大寺長老・清水公照作の色紙、宵御輿(よいのみこし)の松明の物品のほか、松明づくりから徒歩での調進風景などの図解パネルも展示されている。
また、鎌倉時代から続く一ノ井と東大寺の関係、修二会にまつわる三笠山のてんぐなども解説している。
黒田から来たという70代の男性は、「一ノ井の松明はよく知っているが、こんなにも関連商品があるなどとは、知らなかった。伝統行事は若い人が受け継いでくれていますね」と話していた。


各地で出初式

伊賀地区で新年恒例の消防出初式があった。伊賀市消防署は7日、消防団員や市消防職員1026人がゆめが丘に集合し、ゆめドーム上野のグランドとドーム内で視閲式と表彰式を行った。
グランドでは車列24台の行進があり、市長が視閲した後、ドーム内で団員の服装点検や優良団員の表彰が行われた。続いて市内の園児による「幼年消防クラブ」90人が、元気よく防火の誓いを述べた。
名張市消防署は8日、同市夏見のHOSアリーナ(体育館)であり、団員375人、消防署員79人が参加した。
亀井利克市長は「今年も気合の入った動作で頼もしく思う。一層の活躍を期待したい。最近は天災が多い。幸い、名張市は災害がなかったが、万一に備え、今年も頑張って下さい」と訓示。
このあと、各種の表彰や徽章の授与があった。梅が丘幼稚園児による防火演技や女性消防団アンシンダーLの防火演技も魅了した。式典後は、車両の視閲と、名張川新町河原で7色の一斉放水を行った。


4月には公有民営化・伊賀鉄道開業100年のフィナーレ飾る

伊賀鉄道の開業100周年がフィナーレを迎えた。地元資本だけによる地方鉄道として大正5年8月8日、上野駅連絡所(のち伊賀上野駅)・上野町駅(のち上野市駅)間に開通して以来の歩みを祝福する記念事業は昨年12月23日、伊賀市上野丸之内のハイトピア伊賀で開かれた記念講演会とクリスマスコンサートで幕を閉じた。
大正11年には名張町駅(のちに西名張駅)まで全通し、昭和4年に大阪電気軌道に吸収合併。長く近鉄伊賀線として地域社会を支え、平成19年から第三セクターとして運営されてきた伊賀鉄道は今年4月、公有民営方式に移行。伊賀市が施設や車両などを保有し、伊賀鉄道に無償で貸与する形で経営が進められる。
昨年は8月7日にハイトピア伊賀で開業100周年記念式典、上野市駅でテープカット、くす玉割りなどが行われ、関係者が1世紀の歴史を振り返り、存続への願いを語り合った。
12月23日は記念事業ファイナルイベント。主催した伊賀線活性化協議会の中井茂平会長が「伊賀線をこれからどういう方向に持っていくのか、鉄道はどうあるべきか。本日はそれを考えたい」と挨拶。来賓の岡本栄市長は「4月に公有民営化されるが、これからが本当の勝負となる。100年前の先人に感謝し、意志を受け継ぐことが大切」と述べた。
つづいて鳥取県を走る若桜鉄道の山田和昭社長が「地域鉄道のこれからを考える〜若桜鉄道の挑戦」と題して記念講演。地方鉄道を観光やまちおこしに結びつけ、多くの鉄道ファンの集客も実現したユニークな企画を紹介。「鉄道を地域にどう活かすか、ゼロベースで考えることが必要だ」とアドバイスした。
そのあとは恒例のふるまいとクリスマスコンサートが人気を集め、最後に伊賀鉄道友の会の池澤基善会長が「伊賀鉄道は私たちの宝物。存続できるようこれからもみんなで後押しを」と支援を呼びかけた